Jリーグ関係者に衝撃走る!

クラブライセンス制度の厳しい現状

2013.01.24 THU


設備基準のなかには「スタジアムの全席を覆う屋根の設置」などの努力目標も掲げられた。できないからといって、すぐに資格はく奪になるわけではないが、J2クラブでは一部が座席のない芝生席のスタジアムを使っているクラブもまだまだ多い。改修の費用は出せるのか…
Jリーグが各クラブの健全経営や組織の充実を図るため、2013年度から新たに「クラブライセンス制度」を導入する。J1・J2に所属するクラブに対して組織や財務、施設などに一定の基準を設け、リーグの水準を高めることを目的としたものだが、その内容は多くのクラブにとって厳しい要求となっており、関係者に衝撃が走っている。

今回、最も注目されたのが「財務」だ。Jリーグのクラブは、三期連続で当期純損失を出すか、前期末に債務超過になった場合はライセンス資格を失う。つまりJリーグにいられなくなるということで、極端にいえば、そのシーズンにJ1で優勝したクラブであっても、財政が赤字続きなら翌シーズンはJリーグから姿を消すことになる。2010年度の決算ではJリーグ37クラブ中、赤字となったのが18クラブ、債務超過となっているクラブは10に上る。実は、資金力に定評があるといわれている浦和レッズや名古屋グランパスまでもが赤字に転落するという現状で、経営の健全化がJリーグ全体の急務となっている。

「世界的にも、サッカークラブの経営難は深刻な問題となっているんです。護送船団方式でやってきたJリーグには、かつて横浜フリューゲルスを消滅させてしまった根深いトラウマもあり、これまでも破産の危機に直面した東京ヴェルディや大分トリニータを自ら資金援助して救うといった温情的な判断を下してきました。しかし、将来にわたってそれを続けていくわけにはいかないということでしょう」

と語るのは、サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の川端暁彦編集長だ。はたして、実際にJリーグから消えてしまうクラブは出てくるのだろうか?

「現実的に考えると、年俸の高額な選手を放出することで支出を削減することはできるわけで、J1に定着しているようなクラブが消えることは考えにくいですね。実際に影響が大きいのは、やはりお金のないJ2クラブや、これからJリーグ参入を目指すJFLのクラブでしょう。財務面だけでなく、スタジアムの規模や練習設備の充実など、要求される基準を満たせないクラブも出てくるはずです」

J1とJ2でライセンス基準は少し異なるそうだが、J2の下位クラブには、尻に火がつく事態といえそうだ。

「しかし、逆に考えればこの制度を理由として自治体やスポンサーから資金調達をするなど、経営を立て直すチャンスとして生かせるかもしれません。いずれにしろ、“赤字は許さないが、積極的な投資は求める”という相反する要求をしている点で、クラブの経営力がますます問われる時代になることは確実ですね」

痛みをともなう改革によって、Jリーグに新しい風は吹くのだろうか。今後の動向を見守っていきたい。
(呉琢磨)

※この記事は2012年01月に取材・掲載した記事です

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