『走ろう、ニッポン!』/第11回

音楽とランニングの密接な関係とは

2013.04.28 SUN


音楽とランニングの相性のよさは、科学的にも証明されていた! お気に入りの曲を利用して、より快適なランニングを楽しもう! 画像提供:Taka / PIXTA
ランナー専用のウォークマンが発売されたり、ランニング向けのCDが販売されるなど、ランニング中に音楽を楽しむことは、もはや定番といえるかもしれません。しかし、このスタイルがここまで浸透したのはなにか理由があるのでしょうか?

「それはランニングと音楽に『リズム』という共通点があるためですね。音楽では、1分間あたりの拍数をBPM(Beat Per Minute)という言葉で表し、ランニングでは1分間などの決められた単位あたりの歩数のことを『ピッチ』という言葉で表します」

と、教えてくれたのは東京大学大学院教授で、スポーツ科学が専門の深代千之さん。さらに、ランニングと音楽の相性のよさを示すデータが深代先生の実験で証明されたのだとか。

「好きな曲•嫌いな曲/BPMとピッチが合う曲•合わない曲、これら4つの条件で音楽を聴きながら、10分間走るという実験を大学生の男女10名ずつ計20名に行いました。その結果、『嫌いな曲でBPMとピッチが合わない曲』に比べて『好きな曲でBPMとピッチが合った曲』は、ランナー本人が感じるキツさが感覚値で10%低く、快適度が20%高いということが明らかになりました。このように、同じ条件でもBGMが自分のピッチに合う曲を聴いた方が、心理的負担が軽減されるのです。だからこそ、ランニング中に音楽を聴くスタイルがここまで浸透したのだと思います」(同)

キツさが軽減されるのであれば、ランニング中にBGMを取り入れる人が多いのもうなずけます。シドニー五輪の際に、練習前に高橋尚子選手がhitomiの『LOVE 2000』というお気に入り曲を聴いていたという話が当時話題になりましたが、“ランニング前に音楽を聴く”という行為も、ランニングにいい影響があるのでしょうか?

「そうですね。好きな音楽を聴いたとき、自然と体が曲に合わせてリズムを取ってしまうことは、誰もが経験のあることだと思います。これは人間にとって自然な行為で、お気に入りの音楽を聴くと体を動かしたいという気持ちが高まるのです」(同)

なるほど。だから、プロランナーの選手が試合前に音楽を聴く姿をよく目にするんですね。音楽を聴きながら走ることで、他にはどのような効果が期待できるのでしょうか?

「音楽を聴きながら走ると、本能的に曲のリズムにピッチを同調したくなります。それだけでなく、音に合わせて走っていると呼吸や心拍のリズムまでも自然と同調していくのです。これを“引き込み現象”といい、『好きな音楽でBPMとピッチが合う曲』を聴きながら走ると快適に感じるのは、この現象が大きく作用していると考えられます。ランニングをする際は、周囲の安全に気をつけながら、ぜひ音楽を取り入れてみてほしいですね。走る楽しさが増すと思いますよ」(同)

ランナーたちがこぞって音楽を聴きながら走る理由がよく分かりました。今からランニングを始めようと思っている人も、音楽の持っている力を活用しない手はありませんね!

(冨手公嘉/verb)

※この記事は2012年4月に取材・掲載した記事です

  • キツさを表す“主観的運動強度”と走った時の“快適度”が、ピッチと合うか合わないか、好きな曲か嫌いな曲かで大幅に変化していることが見てとれる。 画像提供:ヤマハ(株)

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