サマソニ、盆踊り…ワイヤレスヘッドフォンで一体感!?

無音で踊る「沈黙フェス」って?

2014.01.14 TUE


東京国立博物館の庭園内で開催されたイベントの様子。日ごろは音楽イベントに参加しないタイプの客層もいたようだ 画像提供/アツデン
炎天下の太陽のもと、大音量の音楽で踊り狂う! そんなイメージが強い音楽フェスティバルだが、ここ数年「沈黙フェス」なるものが海外でブームになっているらしい。なんでも参加者は、ワイヤレスヘッドフォンから流れてくる音楽を楽しみ、静かなフロアの中で踊るというのだ。

ブームはすでに国内にも飛び火。2008年のサマーソニック東京では日本初となる「サイレント・ディスコ」が開催された。また、愛知県東海市では耳にイヤフォンを装着して、盆踊りを踊る「無音盆踊り」が2009年から行われている。

徐々に注目を浴びてきた「沈黙フェス」。イベントの実態をワイヤレスヘッドフォンなどの製造、販売を手掛けるアツデンの大石亮さんに聞いてみた。

「イベントによって異なりますが、ヘッドフォンは主催者側が用意していることが多いですね。通常の音楽イベントのようにDJもいて、電波に乗せてオーディエンス全員のヘッドフォンに同じ曲を届けます。ジャンルはヒップホップやテクノなど、様々です」

ヘッドフォンを装着しているのだから、当然外部に音が漏れる心配はない。2013年の夏、湘南にある海の家の「クラブ化」が問題となった。海水浴シーズンともなると、数店から大音量の音楽が響き渡り、近隣住民からの苦情が相次いだのだ。沈黙フェスは、そのような問題を解決する糸口になるのだろうか。

「もちろん騒音対策として注目されている部分はありますね。しかし、沈黙フェスには空間の有効利用というメリットが大きいのです」

具体的な事例では、2012年4月に開催された『J-WAVE SPRING FESTIVAL』がある。場所は東京国立博物館の庭園内にある九条館だ。一般客がいるので、当然大音量で音楽を流すことはできない。さらに、そのすぐ横では別のアーティストがコンサートを行っていたという。普段は音楽イベントを行えない場所でもフェスを開催でき、かつ複数のイベントを同時に進行できるのも沈黙フェスの魅力なのだ。

しかし、無音の空間で大人数がヘッドフォンをつけて踊っている姿は実に奇妙…。参加者の反応は?

「たしかに、周りでイベントの様子を見ていた人たちは不思議そうな顔で見ていましたね(笑)。しかし、それが反対に参加者同士の一体感を生むようです。ヘッドフォンをつけていないと分からない世界を、限られた人たちだけで共有している。そのシンクロ感が病み付きになるのです」

先に述べた湘南海岸の海の家の問題だけでなく、最近は風営法違反で取り締まりを受けるクラブが相次いでいる。多くは飲食店を偽って客にダンスをさせているケースだが、その背景には繁華街と住宅地が隣接した地域での騒音問題も。沈黙フェスがどう広まっていくのか、注目したい。
(播磨谷拓巳/ノオト)

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