ガム、弱音、子どもを抱っこ…なぜダメ?

バラード曲NG!球界“珍”禁止令

2015.02.16 MON


昨季は秋山幸二監督が、本拠地福岡で宙に舞った。厳しい禁止令を発した工藤公康監督は、連覇を達成できるか? 写真/Imasia
かつて、球界の常識を破る数々の言動で「新人類」と呼ばれたのも今は昔。ソフトバンク・工藤公康新監督が掲げた数々の禁止令――「試合中のガム禁止」「ツバ吐き禁止」「弱音発言(できません、分かりません、しようがない)禁止」――が「時代錯誤では?」と話題になっている。ガムとツバ吐き禁止は「ファンの夢を壊さないため」、弱音発言禁止は「向上心を阻む要因になるから」だという。

気になるのは、7年連続打率3割以上の内川聖一など、ソフトバンクにガム愛用者が多いこと。ガムを噛むことで打席に集中できるという選手も多く、影響を懸念する声も出ている。ちなみに昨季、ガムを禁止した巨人では「優勝したのに3割打者ゼロ」という珍事が起きた。もちろん因果関係は不明だ。

工藤監督のこの厳しい姿勢は、プロ入りして最初に指導を受けた広岡達朗監督の教えから。広岡監督といえば「管理野球」の代名詞的存在で、白米・肉食・飲酒を禁止し、玄米と野菜中心の食生活を推奨したことで有名だ。この禁止令に苦しんだのが、大久保博元(現・楽天監督)。ルーキー時代、慣れない玄米食で腹を下すと「大久保、玄米で下痢に」と記事になり、それが首脳陣批判と捉えられて、入団早々に罰金を科せられてしまった。当時の西武では、大久保以外にも不満の声を漏らす選手は多かった。ただ、広岡体制(1982~85年)の4年間でリーグ制覇3回、日本一2回と結果が出たことで、なんとかチームの和は保たれていたという。

そんな大久保監督が今季、楽天で禁止にしたのが「入場曲でのバラード使用」。「ノリがいい曲の方がファンの方々も応援しやすい」という理由だが、果たして選手たちはどんな曲を選ぶのか?

このようにチーム全体に科せられる禁止令以外にも、特定の選手だけを対象とした禁止令も過去には存在する。楽天時代の田中将大(現・ヤンキース)がはじめて沢村賞を受賞した2011年。せっかく受賞したにもかかわらず、選考委員から「派手なガッツポーズや雄叫びを控えるように」とガッツポーズ禁止令が出された。もちろん「禁止令」といっても訓戒のようものだが、気持ちで投げるタイプの田中がここぞという場面で雄叫び・ガッツポーズを止められるはずもなく、2013年の日本シリーズでは、ロペス(巨人・当時)を三振に仕留めたあとのガッツポーズが元で口論になった。

禁止令が好結果に結びついたのが1994年5月の槙原寛己(巨人)。登板日の前々日に門限を破って夜遊びをしたのが堀内恒夫コーチに見つかってしまい、1カ月の外出禁止令が下された。「そりゃあんまりだ。罰金なら払います」と抗議したところ、「次の登板結果を見て判断する」ということになり、投げてみたらまさかの完全試合達成! これには堀内コーチも外出禁止令を解くほかなく、槙原はさっそく夜の街へ消えていったという。

変わったところでは、家族から「禁止令」を食らってしまった例もある。小笠原道大(中日)が奥さんから言い渡されたのは「抱っこ禁止令」。腕に負担がかかるからと、2人の愛娘を抱っこすることができなかったという。もっとも、この内助の功のおかげで、41歳の今季も現役でいられるのかもしれない。

この他にも、金髪、ヒゲ、服装が禁止された例もあるが、個性を縛りすぎるのは興ざめという声もある。今後もこのような禁止令が登場するのか? そして今季のソフトバンク、楽天は禁止令の効果で好成績を残すことができるのか? 見守りたい。
(オグマナオト)

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