岡崎、中澤、鈴木…一流選手たちの下積み時代

ダメ新人だった!サッカー選手列伝

2015.04.12 SUN


最初は結果がついてこなくとも、諦めずに夢や目標を追いかけた結果が、彼らの“今”につながっている 画像提供:HIME&HINA / Imasia(イメージア)
新入社員がデビューして約2週間。ネット上には早くも「辞めたい」という書き込みが登場している。冗談かもしれないが、本気なら気が早すぎるだろう。人生、早咲きの人もいれば、遅咲きの人もいる。

たとえば、世界を舞台に活躍するサッカー選手たちも、新人時代は苦労した人が多い。諦めなかったからこそ夢をつかんだ3人のエピソードを紹介しよう。

●1)誰よりも下手くそだった男

日本代表DFとして2度のW杯(2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会)に出場し、レギュラーを務めた中澤佑二(横浜F・マリノス所属)。だが、小・中・高校と全国大会はおろか地域選抜とも無縁。自著『下手くそ』の中で、「自分ほど下手くそだったJリーガーはいない」と振り返る。

それでも、プロになる夢を諦められなかった中澤は、高校を卒業した1996年、アルバイトで貯めた5万円を握りしめてブラジルへサッカー留学する。1年後、Jリーグ各クラブに「練習生でもいいからプレーを見てください」と手紙を書いて猛アピール。母校のサッカー部とヴェルディユースの練習試合に「18歳」と偽って参加し、得点を挙げたことをキッカケに練習生に滑り込んだ。

そして1999年、プロ契約に漕ぎ着けると、身長の高さを評価されてレギュラー入り。その年、リーグでは新人王に輝いてシドニー五輪代表にも選出。そして日本代表へと一気に駆け上がった。

そんな中澤には、引退後、高校でサッカーを教えたい、という夢がある。

「本当に一生懸命に打ち込めば何かがあるんだよ…と伝えたい」(『中澤佑二物語』より)

●2)コンプレックスを力に変えた男

身長もなく、技術もなく、おまけに足も遅い。それが清水エスパルスに高卒ルーキーとして加入した2005年当時の岡崎慎司(ドイツ・FSVマインツ05所属)の姿だ。当時の監督は「FW8人中、8番目の選手。光るモノは何もなかった」と振り返り、周囲からも「それでもプロか?」と毎日呆れられたという。

そこで岡崎が取り組んだのは、短所やコンプレックスから目を背けるのではなく、あえてそれらを見つめること。突然身長が伸びたり俊足になったりするわけはない。ならば、小さな体でもどうすれば屈強なDFに対応できるかを考え、足が遅いならばとオフ・ザ・ボールの動き(※ボールを持っていない時、絡んでいない時の動き)の質を磨き、陸上の専門家にも指導を仰いだ。

すると4年目の2008年、リーグで年間10ゴールを奪ってチームの得点源に。その活躍が認められて同年夏の北京五輪代表に選ばれ、秋には日本代表にも選出。以降、現在まで代表戦で挙げた43ゴールは釜本邦茂、三浦知良に次ぐ歴代3位にのぼる。

そんな岡崎は昨年、地元神戸にサッカースクールを開校。「希望を持つ子どもたちの可能性を少しでも広げることが僕たちの夢」と自身のブログで抱負を語っている。

●3)ラストチャンスをつかんだ男

2002年W杯日韓大会、初戦のベルギー戦でチーム初得点を挙げ、一躍時の人となったFW鈴木隆行(ジェフ千葉所属)。だが、ブレイクを果たすまでの道のりは長かった。

高校を卒業した1995年、鹿島アントラーズに入団した鈴木。ただ、代表クラスばかりが揃う当時のチームでは技術が一切通用せず、入団から2年たっても出場はリーグ戦のわずか1試合にとどまった。そこで3年目の1997年、環境を変えようとブラジルのCFZ・ド・リオへの期限付き移籍を決断。以降、他クラブへのレンタル移籍を繰り返すことになる。

通常であれば、その移籍先での活躍が契機となって…となりそうだが、鈴木の場合は違った。2000年8月、レンタル先の川崎フロンターレでもくすぶっていたところ、古巣の鹿島から「戻ってこい」と連絡が入る。シドニー五輪に出場する柳沢敦と平瀬智行のストライカー2人の穴埋めのためだ。

「ラストチャンスだ」。そう決意して臨んだ鹿島復帰戦で1ゴール。この得点が呼び水になったのか鈴木はその後も得点を重ね、チームも鈴木加入後の半年間負け知らず。結果としてこの年、鹿島はJリーグ史上初の三冠(リーグ戦、ナビスコ杯、天皇杯)を達成。鈴木はその立役者として注目され、ついに日本代表に招集されるようになったのだ。

鈴木は昨年上梓した自著『魂の男 鈴木隆行』の中でこんな言葉を残している。

「どんな場所からだって、成功につながる道は必ずある。挫けず情熱を持って進もう」

その言葉を自ら実践するように、今も現役を続けている。

いずれも鳴かず飛ばずの新人時代。それでも、地道な努力を積み重ねれば、いつか道が開けることもある。新入社員の皆さんも諦めないで!
(オグマナオト)

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