為末が、里崎が! 悪天候だからこそ生まれる好プレーもある

雨が生んだ! スポーツ名場面4選

2015.06.16 TUE


里崎の雨中の満塁弾が飛び出した2006年、ロッテは見事交流戦で優勝! 写真/PIXTA
雨の多いシーズンに突入したが、スポーツ選手にとって雨は実にやっかいなもの。グラウンドやコースがぬかるんで足を取られたり、手が滑ったりして思い通りのパフォーマンができないなど、デメリットが山積みだ。しかし、そんな悪コンディションだからこそ生まれた好プレーや名シーンも、さまざまな競技で存在する。

●雨が生んだ名場面1)ストイコビッチが空中で…
1994年9月17 日の名古屋グランパス×ジェフ市原戦でドラガン・ストイコビッチが魅せた“リフティング・ドリブル”。この日はピッチに水たまりができるほど強い雨が降り続き、選手たちはボールをうまくコントロールできず悪戦苦闘。するとストイコビッチは、ボールを転がさず、数十mほどリフティングでキープしながら前線へ。持ち前のテクニックと機転の融合によって飛び出した“神業”は、伝説のスーパープレーとしてテレビなどでも何度も取り上げられた。このプレーについて本人は、「地面に落とすとなかなか前へ進めないので、リフティングで運ぼうと思った」と説明していた。

●雨が生んだ名場面2)雨のナカジマが世界に与えた衝撃
日本人初のF1フル参戦ドライバー・中嶋 悟は、“雨のナカジマ”と呼ばれるほど、雨天でのレースに強かった。そのことを最も象徴するのが1989年シーズンの最終戦、オーストラリアGP決勝での激走だ。アラン・プロストは棄権、アイルトン・セナやネルソン・ピケらはクラッシュに見舞われるなど、並みいる猛者たちもひるんだ土砂降りの中、予選23位からスタートした中嶋は前を走るマシンを次々とかわして、何と19台をごぼう抜き! 日本人ドライバーとして初のファステストラップをマークし、自己最高タイの4位入賞を果たした。雨に強い理由について問われた中嶋は、「車は滑るが、その分ハンドルが軽くなって操縦しやすくなるので、腕力が無い自分にとって雨のレースはチャンスだった」と答えている。

●雨が生んだ名場面3)冷静だった“侍ハードラー”
2005年ヘルシンキ世界陸上の男子400mハードル決勝に予選8位で進出した為末 大は、メダル獲得の可能性は低いと感じていた。しかし、2時間のインターバルを要した豪雨がツキを呼び込んだ。他の若い選手たちが明らかに動揺している様子を尻目に、為末は冷静にコンディションを調整。スタートから積極的に飛ばす勝負に出た。ラスト2台あたりまでトップをキープすると、そこからは予想通り、追い上げてきた有力選手たちとの激しいせめぎ合いになったが、最後まで粘りに粘って3位でゴール! まさに、雨を味方につけてつかんだ銅メダルだった。

●雨が生んだ名場面4)配球も読めた! 2年連続満塁弾
強打の捕手として活躍した元千葉ロッテの里崎智也は、雨の神宮球場で2年連続、逆転満塁本塁打を放つという神懸かり的な記録を残している。1度目は、2006年6月18日の東京ヤクルト戦だった。雨で開始時刻が延びたことで、里崎は空いた時間を利用してスコアラーと作戦会議をした。相手先発の藤井秀悟が左腕のため、左投手との過去の対戦データを分析。自分がインコース高めをまったく打てていないことから、勝負どころではここを攻められると予測を立てた。そして3対5とリードされた5回表、2アウト満塁のチャンスでそのときがやってきた。カウントは3ボール1ストライク。「四球・押し出しを恐れて、雨で指が滑る変化球はない」と読み、インハイのストレート1本に絞った狙いはズバリ的中。鋭いスイングで叩いた打球は弾丸ライナーとなり、あっという間にレフトスタンドに突き刺さった。里崎は後に著書で「雨が降っていてよかった。降っていなかったらミーテイングをしていなかった」と記している。そして2度目は、翌2007年6月24日の同じく東京ヤクルト戦。この日はミーテイングはしていなかったものの、1対3で迎えた8回表、2アウト・フルカウントから、今度は滞空時間の長いグランドスラムをレフトスタンドに沈めた。

雨の中のゲームは、プレーする側はもちろん観戦する側にとってもタフなものだが、「もしかしたら、新たな伝説が見られるかも…」と期待しながら観てみると、より楽しめるのではないだろうか。
(菅原悦子)

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト