ラグビー選手はペンギン歩き? 投手はコルク抜きが苦手?

“夜”にも影響…アスリート職業病

2015.11.08 SUN


ラグビーは、選手同士の激しいコンタクト(ぶつかり合い)以外にも、体への負荷が… 写真/PIXTA
日々過酷なトレーニングや試合をこなすアスリートたち。肉体を酷使した結果、その競技をしている人ならではの“職業病”ともいえるクセや症状が出ることも多いのだとか。今回はそんなスポーツ選手の職業病について、日本成人病予防協会認定講師の内田英利さんに聞いてみた。

「まずケガの多いスポーツの代表格といえば、今年のW杯でも話題にもなったラグビーが挙げられるでしょう」

と、内田さん。なかでも多いのが足首の捻挫だという。

「スポーツの捻挫というと、普通は足首を外側にひねるパターンが多いのですが、ラグビー選手はボールを蹴る際に、ボールを蹴る方向を咄嗟に変えるために足首の向きを変える場合があります。そうすると、蹴り足とは反対の踏み込んだ足首をひねってしまう“外反捻挫”になってしまうのです。さらに、ラグビーは重心を低く保ったまま、速いスピードで移動するスポーツなので、足首への負荷が大きく、後遺症が残りやすい。ひどいと曲がった状態のまま動かなくなることもあります」(内田さん)

現役選手のなかには、足首の捻挫が原因でペンギンのような歩き方になっている人もいるのだそう。また、外反捻挫で足首の靭帯が伸びきってしまうと、最悪足首がグニャグニャ(!)になってしまうこともあるのだとか…。想像するだけで痛そう!

ラグビーだけではない。よく選手の故障が報じられる野球では、ヒジに職業病を抱える人が多いのだという。

「特にピッチャーは投球のしすぎで腕に高負荷がかかりやすく、利き腕の筋肉や腱・神経などを傷めてしまうことが多いです。そのせいで筋肉や腱にこわばりが発生して常時ヒジが曲がった状態の人もいますね。変化球を投げる時は手首をひねるため、投げすぎると手首が動かしにくくなり、ワインを飲みたいのにコルクの栓が開けられないなんて人もいます」(内田さん)

同じ野球でも、バッターの場合は、バットにボールが当たるインパクトの瞬間に歯を食いしばるので、毎回かなりの圧力が下顎にかかり、奥歯がボロボロになることもあるそうだ。

さらに、スポーツ選手の職業病は精神面にまでおよぶ。たとえば、マラソン選手に多いのが、俗に言うマラソン中毒。

「長時間走ってランナーズ・ハイの状態になると、リラックス効果のある脳内物質が多く分泌されるため、脳が“気持ちいい”と認識します。また、代謝や血行もよくなり、体のすみずみに酸素や栄養素が行き渡るので、普段は活動をあまりしていない細胞が“目覚める”んです。そうなると、味覚・嗅覚・聴覚が鋭くなったり、視野が広くなったりして快感が得られます」(内田さん)

一見良いことのように思えるが、覚醒モードがクセになってしまったランナーは毎日でも走りたくなってしまうらしく、走れない日があるとイライラしたり、心理的にひどく落ち込んだりしてしまうこともあるという。

その他、腰の故障もスポーツ選手にありがちな職業病。腰を前後に動かすことで激痛がはしるため、悲しいことに夜の営みにまで影響が出るとのこと。「この場合、正常位は無理なので硬いベッドの上で男性が仰向けになるしか方法はなさそうです」(内田さん)。ちなみに、腰痛になりやすいのがゴルフやテニス、ボウリングなど、腰を前後に動かしたりひねったりする動きの多い競技。屈強そうなアスリートたちが、日常ではこんな不便を強いられているのかと思うとなんだか切ないかも…。

グラウンドの中だけでなく、外でも戦っているアスリートたち。そんな選手たちの苦労を想像しつつ試合を観戦すると、応援にもより身が入りそうだ。
(松原麻依/清談社)

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