卓球、自転車、バスケットボールでも

スポーツ界「武士の情け」5選

2016.01.20 WED


確実に存在する力の差。強者が取るべきその作法とは? 写真:Ippaiattena / PIXTA(ピクスタ)
ウィンタースポーツとして人気のカーリング。独特なルールも注目される要因のひとつだ。昨年の「世界女子カーリング選手権」で日本代表は、対戦していたドイツ代表から「コンシード」を奪って勝利を収めた。これは実質的な「ギブアップ宣言」。カーリングでは、相手との点差が開きすぎた場合、負けを認めて試合を終了させることができるのだ。

それは潔く身を引く“敗者の礼儀”であると同時に、圧倒的な力を誇示した勝者が施す情けのようでもある。カーリングのようにギブアップが認められる競技は、格闘技以外ではなかなかみられないが、あまりに一方的な展開の場合、勝者が敗者に対して施す“ご厚情”が他の競技にもあるらしい。ルールブックには載っていない様々な「武士の情け」を、各競技に精通しているスポーツライターらにリサーチしてみた。

【その1】「バント・盗塁は禁止」(野球)
約半年で162試合が行われるメジャーリーグ(MLB)。大差(6点差程度)がついている試合では、“バントや盗塁は禁止”というのが暗黙の了解。必要以上に点数を取らず、試合をスムーズに進めるのがプロの流儀なのだそう。勝敗が明らかな状況で勝っているチームが盗塁を仕掛けたとしても、その盗塁は記録されない場合があるらしい。

【その2】「ダンクなど派手なプレーは控える」(バスケットボール)
MLBと同じように、アメリカのプロバスケットボールリーグ(NBA)では、大差がついたら相手に敬意を払う意味でも無意味に点差をつけすぎない。タイムアウトをとって試合時間を延ばしたり、ダンクなどの相手を辱めるような派手なプレーをしたりするのも御法度。おとなしくパス回しをして時間を流し、タイムオーバーを待つのが基本的な姿勢だ。

【その3】「11対1で試合を終えるのが礼儀」(卓球)
11点先取制で行われる卓球は、相手に1点も取らせないままゲームを終えることをマナー違反ととらえる慣習がある。そのため、力の差がどれだけ大きくても、「11対1」でフィニッシュするのが礼儀。ちなみに、2010年のアジア大会で、圧倒的に力が上だった福原愛が、相手の打ちやすい球を一度打って1点取らせたことがニュースになった。中国の地元紙はそんな福原選手の人柄を絶賛していたらしい。

【その4】「番付の最上位陣は“変化”せず」(大相撲)
真っ直ぐ相手にぶつかって勝負するのが基本の相撲だが、小技を効かせた様々な決まり手も存在する。ただ、最上位である横綱や大関が大一番で行うのが忌避されている決まり手がある。それは、立ち合いでぶつかり合う時に体を左右に交わし、相手の体勢を崩して勝負を決める「変化」と呼ばれる戦法。“お情け”とは少し趣が異なるが、品格が重要視される相撲では、強者は強者らしく正々堂々とした振る舞いが求められるのだ。

【その5】「トラブル遭遇者を出し抜くのは厳禁」(自転車ロードレース)
マラソンのようにいくつかの集団を作ってレースが展開される自転車競技にも、紳士協定は存在する。時速50キロ以上というもの凄いスピードで競い合うなかで、時にタイヤがパンクしたり、接触などにより選手がバランスを崩して落車したりする。そんなライバルの不運を利用して一気にペースを上げることは、マナー違反。一人がトラブルに見舞われた時、その選手が属していた集団はスピードを落としたりして回復を待つのがスマートとされている。ただし、ゴール直前の場合や逃げ集団(先頭集団)で勝敗に大きく影響が出てしまう場合などは例外とされている。

負けているチームを応援したくなるのは日本人の性ではあるが、明らかな大差がつくと刺激にかけるというのも本音。そんな時は、勝者が施す密かな「武士の情け」に注目したら、違う楽しみ方ができるかもしれない。
(山口優希/ユーフォリアファクトリー)

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