「最新作は、何度も観たくなる!」(長谷川博己談)

樋口監督が語る「ゴジラ歴代作品」知られざる見どころ

2016.07.27 WED


歴代ゴジラ作品について熱く語る樋口監督。文字数の都合上割愛したが、「キラアク星人のプラスチック感がスゴい」や「アメリカ人はメガロ(日本では不人気怪獣)が好き」といった小ネタも教えてくれた。そして新作『シン・ゴジラ』については「今回はとにかく緊張しながら作ったので、絶対に満足させる自信があります」とのこと。7月29日(金)全国ロードショー!
特撮映画のなかでも長い歴史を持つシリーズのひとつ、『ゴジラ』。この夏には最新作『シン・ゴジラ』が公開され、ハリウッド版も合わせれば作品数は31にもなる。

そこで最新作『シン・ゴジラ』で監督と特撮技術監督を務め、ゴジラ作品に深い愛を持つ樋口真嗣監督を直撃! 歴代作品のなかからユニークな見どころを挙げてもらった。またあわせて、主演の長谷川博己さんに、新作の見どころを聞いた!

■ゴジラの息子・ミニラがヤバい

ゴジラと戯れるミニラ。ちなみに両者に血縁関係はないという公式設定
ゴジラと戯れるミニラ。ちなみに両者に血縁関係はないという公式設定
(c)TOHO CO.,LTD.
「かわいく作ろうという意図と、正反対のゴジラらしさがぶつかり合ってなんかもう…ヤバいです! ゴジラを見に行った観客の唖然とする姿が目に浮かびます。初出の『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』では昼寝しているオヤジみたいなゴジラの尻尾を縄跳びがわりに遊んでいたり…。初代からは考えられないゴジラのリラックスぶりも見物です。ミニラの登場は、純粋な映画から、子ども向けの“番組”になっていく象徴と言えるでしょう」

■平成版敵怪獣の“ヤンキー感”がスゴい


右奥がバトラ。オラついたデザインがどう猛さを感じさせる
右奥がバトラ。オラついたデザインがどう猛さを感じさせる
(c)TOHO CO.,LTD.
「平成ゴジラシリーズの見どころは、特技監督を務めた川北紘一さんがまとめ上げた、敵怪獣のデザイン。サービス精神が旺盛なので、どれも邪悪なシルエットでとげとげしいんです。『ゴジラvsキングギドラ』(1991年)ではキングギドラが蘇ってメカギドラになるんですが、その姿が何かに似てると思ったら、“族車”なんですよね。北関東育ちの私の心にビシビシと刺さりました。『ゴジラvsモスラ』(1992年)に登場したバトラという怪獣もまた…エアロパーツっぽくて、族車に通じるかっこよさ! ちなみにゴジラシリーズじゃないですけど『モスラ2 海底の大決戦』(1997年)に登場する鎧モスラなんて、もはや初日の出祝賀集会に集まるバイク並みのとげとげしさで、もう怪獣という枠を超えたかっこよさなんですよ」

■劇中で恨み辛みを晴らす!? 本多猪四郎監督の毒

熱海城を挟んでにらみ合うゴジラとキングコング。このあと、熱海城は見るも無惨に…
熱海城を挟んでにらみ合うゴジラとキングコング。このあと、熱海城は見るも無惨に…
(c)TOHO CO.,LTD.
「ゴジラを生んだ本多猪四郎監督は穏やかで誠実なイメージがあるんですが、実は毒気もある人だと私は見ていて。『キングコング対ゴジラ』(1962年)は、デリカシーのないテレビ局員と広告マンが怪獣を呼び起こし、日本が破壊される話ですからね。映画産業の行く先を予見したようなもんです。また『モスラ対ゴジラ』(1964年)で描かれる中部地方のバイタリティー溢れた人間描写も見逃せません。出てくる人物が大なり小なり全員金の亡者ですからね。中部地方に何か恨みでもあるのか!? と」

さて、歴代作品もいいけど、気になるのはやはり最新作では? そこで立場上言えないことも多い樋口監督に代わって、主演の長谷川博己さんに見どころを語ってもらおう。


撮影:花村謙太朗(URBAN NIGHT PICTURE Inc.)
「初めて観たのは小学校低学年のころ。ただただ恐ろしいと思っていました。ゴジラ作品に出られること自体うれしかったのですが、初代のようなシリアス路線に戻ったことは、さらにうれしかったですね」

演じるのは、ゴジラ対策に辣腕を振るう内閣官房副長官の矢口蘭童だ。

「脚本を最初に読んだとき、矢口にドライな印象を持ちました。でも熱血漢や分かりやすいだけの人だと、30代であの立場には就けないだろうから、庵野さんと相談しながら、出世欲や生意気さがあるのに“無色”に見えるヒーローという人物像を作っていきました。矢口の純粋さなんかは、庵野さんご自身の分身なのかな…と感じるところもありました」

物語については「一回観るだけじゃ物足りない作品になっています」と長谷川さん。『ヱヴァンゲリオン』同様、庵野監督は脚本と絵作りにとことんこだわり、“仕掛け”を劇中にちりばめているようだ。かくして、硬派なエンターテインメント作品に仕上がっているとか。


撮影:花村謙太朗(URBAN NIGHT PICTURE Inc.)
「何がスゴいって、ハリウッドで作るとなると何百億円もかかるものを、その何十分の一の規模で作り上げてしまうということ。樋口監督と庵野監督が素晴らしいVFXを用意しています。また演技の面では、若い俳優から大先輩まで多数共演していて、最近の日本映画ではちょっとなかったような ポリティカル・フィクション(政治ドラマ)の“芝居合戦”になっています」

キャッチコピーの「日本対ゴジラ」が示すのは、劇中で人類がゴジラに立ち向かう構図のみならず、日本映画界が総力を挙げてゴジラ作品に挑む姿勢とも言えるのかもしれない。樋口監督の“視点”を踏まえてこれまでの作品をおさらいしつつ、長谷川さんの見どころを踏まえて新作を存分に楽しんでいただきたい!
(吉州正行)
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  • 『ゴジラVSモスラ <東宝DVD名作セレクション>』2700円でDVD発売中 発売・販売元:東宝 
    (c)TOHO CO.,LTD.
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