25歳で才能が開花した遅咲きの星

今年のドラフト会議で畳職人からプロ選手が誕生!?

2004.11.05 FRI

間近に迫ったプロ野球のドラフト会議で注目したい異色の選手がいる。今夏、社会人野球の都市対抗野球大会で活躍した三菱製紙八戸クラブの中村渉だ。毎年、東京ドームで開催される都市対抗の出場チームは、同地区の予選敗退チームから『補強選手』として最大5名を招集することができる。

東北第三代表・JTに補強された中村は、初出場にもかかわらず、落ち着いたピッチングを披露した。三菱重工名古屋との一回戦では7回から救援。2安打無失点で勝利投手となると、先発を任された準々決勝では5度の優勝経験がある名門・東芝を相手に5安打完封。チーム初のベスト4進出に貢献し、大会優秀選手にも選ばれたのだ。JTの一員となって、わずか1か月で球速が4キロもアップし、東芝戦では最速145キロをマーク。潜在能力を短期間で開花させた無名のサウスポーは、一躍プロから注目される存在となった。

プロ数球団が獲得に名乗を上げるなど、周囲が突然騒がしくなったことに一番戸惑っているのは、中村自身だ。八戸西高3年夏は青森県予選一回戦で敗退し、青森大では公式戦登板がないまま、3年夏には自主退部。卒業後は江戸時代に創業したという家業の畳店を手伝いながら、三菱製紙八戸クラブに入部した。クラブチームは基本的に誰でも入部可能。企業に所属していない中村はそこに野球をする場を求め、活動日以外も母校で後輩たちと汗を流すなど、コツコツと練習に励んでいたという。だがそれは、プロという夢を叶えるためではなかった。「もう一度、真剣に硬式野球をやりたい」という思いからだったのだ。

大観衆の中で投げた東京ドームのマウンドを振り返った中村は、「緊張はしなかった。好投したのはたまたま。運がよかった」と話す。しかし、運やチャンスを生かせるかどうかは自分次第だ。大舞台とは無縁だった野球人生は25歳を迎えた今、新たな局面を迎えようとしている。運命の日、ドラフト会議は11月17日である。

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