球界随一の個性派が引退の危機

そのキャラクター、捨てがたし伊良部秀輝よどこへ行く

2004.11.11 THU

伊良部、引退か――プロ野球再編問題のカゲで、ひっそりと報じられたこのニュース。“あ、そうだっけ!?”なんて思った人が、野球ファンにもけっこういるかもしれない。が、その功績を思えばこれは失礼千万。何といっても彼は、すべての大リーガーが熱望するワールドシリーズのチャンピオンリングを、日本人で唯一持っている男なのだ。

香川・尽誠学園から千葉ロッテのエースとなった伊良部秀輝は、97年、時速158kmの日本最速記録を手土産に大リーグ入り。ヤンキースと1280万ドルもの巨額契約を交わし“史上最高額のルーキー”と騒がれた。実際、2年目の序盤には両リーグを通じ防御率1位にランクされるなど、滑り出しは上々。その後、ケガや病気が重なって、6年間の大リーグ生活はやや尻すぼみに終わったものの、昨年、阪神の優勝に大きく貢献した老練な投球はまだ記憶に新しい。大物ぶりは、俳優・江守徹似のルックスだけではなかったのである。

にもかかわらず、セレモニーもない寂しい去り際となったのは、そのダーティーなイメージのせい。メジャーでの移籍先をめぐる選り好みや観客へのツバ吐き、酔っぱらっての暴力沙汰など、トラブルメーカーとしても名を馳せた。とはいえ、好漢ぶりを伝える証言も珍しくはないことを思うと、そのイメージはおそらく彼の天然がなせるわざ。取材陣に向かって「お前らにミケランジェロの気持ちがわかるか」と突然口走ってみたり(たぶん自分が天才だと言いたかったのだろう)、ファンにとってはガッツ石松的な面白さでも楽しめたのだ。前述のトラブルにしたって、来日する“助っ人”がこれまで仕出かしてきたことを米国にお返ししたともいえる。野茂やイチローとはちょっと違う意味で、日米のレベルの接近を知らしめた功労者、なのかも。

そんな伊良部は今後、米国で実業家を目指すとか。せこい形で球界に残ろうとしないあたりが“伝説の男”たるゆえんだが、いったり何をするつもり!?

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