日本ジャンプ陣、再出発

トリノ五輪へ向けた熾烈な争い日の丸飛行隊の現状は?

2005.10.27 THU

優勝した山田大起の1本目は121m。開幕間近のトリノ五輪シーズン。スペシャルジャンプW杯代表選手選考会となるサマージャンプ記録会初日の10月15日は平均風速0.4mの穏やかな試合だった。だが、98年長野五輪ヘッドコーチだった小野学氏は言う。「気圧や気温などの条件は違うが、もし9月のサマーGPで優勝したヤコブ・ヤンダ(チェコ)がいたなら、ヒルサイズの131mは確実に飛んだでしょうね」

“約10m”。それが今、日本チームが世界のトップにつけられている差でもある。

98年長野五輪で頂点に立った日本ジャンプが躓き始めた要因は油断だった。スキーの長さのルール変更があった98~99年シーズン、世界選手権ノーマルヒルでメダルを独占したことで油断が生まれたのだ。

だが翌シーズンからは、国際スキー連盟がよりスポーツ性を高くするのを目的にルールを厳格にしようと規則改正を連発した。それに対してヨーロッパ勢がすべての面で様々な試みを始めたが、日本はすべての面で後追い状態に。世界に差をつけられた日本選手は焦り、その焦りが気持ちを先ばらせて空中でも体を前に突っ込ませてしまう。スキーの長さもジャンプスーツも変わって受ける浮力が少なくなった状況では、無駄な動きひとつが失速の大きな要因になる。その積み重ねが10m以上の差になり、昨季の世界選手権の団体戦は全員30代と世界に類のない選手構成につながった。

フィンランド人のカリ・ユリアンティラがヘッドコーチに就任した今季、多くの選手にチャンスを与えるとした2日間の選考会後に選出されたW杯とコンチネンタル杯派遣選手10名の構成は、29歳以上と23歳以下が半々と将来が見えるものになってきた。だがユリアンティラは「約1カ月後のW杯開幕に向けては、何を置いてもフィジカルトレーニングが課題。その後はステップ・バイ・ステップで目標を立てていきたい」と言う。日本ジャンプは今、再生への一歩を踏み出したようだ。

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