プロレス界の生き字引、ついに引退!

永源 遙、最後のツバ吐きパフォーマンスを見届けよ!

2006.03.09 THU

彼の試合が始まるとリングサイドのお客さんは、顔の前に新聞紙を大きく広げたものであった。なぜなら、見事な放物線を描いたツバが、客席に向かって飛んでくる危険性が確実にあるからだ。永源遙。彼こそ、日本でただ一人観客にツバを吐くことで長年愛されてきたプロレスラーなのである。

今年で選手生活40年を迎える永源の試合スタイルは、一言で言えばコミカル。小太りな体型で縦横無尽にリング内を走り回って軽やかさをアピールすると、まずは一仕事終了。対戦相手に触れてもいないのに、タッグパートナーにタッチしてしまうこともたびたびだ。そしてエプロンサイドで敵に捕まると、観客の方を向き、そこで相手が永源の胸を叩くと例のツバが飛び出すという流れ。観客は新聞紙で防御しつつ皆これを喜んだ。マスコミも、その様子を「客席に咲く新聞紙の花」と形容して愛した。

そんな永源が今月ノアのマットで現役を引退する。大相撲からプロレス入りしたのが昭和41年。力道山の日本プロレス、アントニオ猪木の新日本プロレス、ジャイアント馬場の全日本プロレスなどを渡り歩き、団体の分裂騒動など一言では言えない苦悩を体験した。また、不測の事態が予想される海外の試合や異種格闘技戦では、必ずセコンドについてスター選手を守ってきた影の実力者でもあった。その一方、人当たりの良さで営業力も抜群、所属した団体のチケットを猛烈に売ってきたのも彼なのだ。日本のプロレス史を体現し、表も裏もすべて知り尽くしたのが永源遙なのである。

決してエースではなかった彼。だが、いざという時にはリング内でも営業面でも頼りになる“必殺仕事人”(永源の入場テーマ曲)だった彼。男の生き様の一つがそこにはあるだろう。ということで3月23日は、プロレスファンはもちろん、ファンでなくても、永源遙最後の勇姿をその脳裏に刻むべく後楽園ホールに集合! 男の仕事っぷりを堪能してほしいわけである、ツバを避けながら。

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