「定年」を迎えるボクシング界の英雄

引退の危機が迫る辰吉が最も強かった時期とは?

2007.03.29 THU



写真提供/AFLO
浪速のジョー、元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎が、5月15日の誕生日で37歳――プロボクサーライセンスが失効する年齢(日本ボクシングコミッション規定)=いわば“定年”を迎える。

辰吉というと…1997年11月、タイのシリモンコン・ナコントンパークビューを悶絶させた3度目の王座奪取劇や、敗れはしたものの空前の好視聴率を記録した薬師寺保栄戦(94年12月)がよく知られ、伝説的に語られることが多い。しかし! R25世代はピンとこないかもしれないが、辰吉がその若さと能力、可能性を最も感じさせた時期は、それよりもっと前、プロデビューから最初に世界王座を奪い取ったころの2年間にある。

元号が平成になった89年の9月にデビュー。1年後の90年9月(4戦目)に日本バンタム級王座を、さらに1年後の91年9月(8戦目)にWBC世界バンタム級王座を奪取したころだ。伝説のボクサー、モハメド・アリもやった、両足をスピーディに交差させる“アリ・シャッフル”を見せたり、ダウンを奪って右手をグルグル回すアクションをして観客をわかせたり…それまでやる選手がいるにはいても、観る側を恥ずかしくさせるものになりがちだったパフォーマンス…これがサマになっていたことなど、ボクサーとしての能力プラス、魅せる面においても、大いに秀でていたのだ。

しかし最初の世界王座奪取を境に、彼のプロキャリアは暗転してしまう。網膜剥離を患って長期ブランクを余儀なくされたり、負けるはずのない相手に苦杯を喫したり、初期の順風が信じられないくらいの不運と逆風にさらされたのだ。

そんな逆風に抗い、計3度世界一になったカリスマにも、受け入れるべき引き際=今回の“定年”が訪れている。一部特例もあり、100%引退決定というわけでもない。本人もまだ納得しておらず、現役続行の道を模索している。果たして辰吉は「その日」をどう迎えるのか。


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