アジア杯、U‐20W杯に見る日本サッカー

日本代表に必要なのは“あのころの気持ち”?

2007.08.09 THU



写真提供/北村大樹/アフロスポーツ
日本サッカー界における今夏のビッグイベント、アジア杯とU‐20W杯が幕を閉じた。結果は周知のとおり、アジアの4位と世界のベスト16。「良いサッカー」に固執して自滅したA代表と、世界を相手に「らしさ」を貫いたU‐20代表。帰国後、「よくやった」と称賛されたのは後者だった。

得点後の派手なパフォーマンスに象徴されるU‐20日本代表の強い結束力は、選手たちの能力を十二分に引き出していた。司令塔を担った柏木(広島)が「このチームでもっとやりたかった。でも、精一杯やったから仕方がない」と語ったように、彼らは完全燃焼に近い状態で舞台を降りた。

一方のA代表は、ピッチ上で悩みながらのサッカーを続けていた。選手の口からは、「2列目から飛び出して…」「引いて守る相手には…」など反省が山積み。何だか少し、U‐20代表にあってA代表にないものを感じた人は少なくないだろう。もちろん、アジア王座の防衛が義務づけられたA代表と、世界への挑戦者であるU‐20代表では、置かれた環境が大きく異なる。しかし、皮肉にも、オシム監督がチーム作りのテーマに掲げる「日本人らしさ」、すなわちアジリティー(敏しょう性)やポリバレント(多能性)を体現したのは、20歳以下で構成された未来の日本代表だった。そして、それをフルに発揮させたのが、選手に「もっと戦いたい」と思わせるチームの結束力であり、技術や戦術以前に「楽しみたい」と願う純粋さだった。

人間は、年齢を積み重ねると“頭でっかち”になることがある。サッカーでは、理想の戦術や詳細なデータばかりに気が向く傾向がそれがあたるだろう。2つの大会から見えてきた日本サッカー界の課題、それは、誰もが抱える「大人になることの弊害」からの脱却といえるのかもしれない。振り返れば、現在のA代表の中核を担う世代が99年のワールドユースで準優勝に輝いた時、彼らの結束力と純粋さは世界でも群を抜いていたのだから。


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト