自動車レースは速さを競うはずなのに…

F1でエンジン開発が10年間凍結されるのはなぜ?

2007.12.06 THU



写真提供/Sutton Motorsport Images/AFLO
世界の自動車メーカーが技術力を競い合うモータースポーツの最高峰F1GP。そのF1で2008年から10年間、エンジンの技術開発が「凍結」されることが決まった。今季最終戦、ブラジルGPの直後にエンジン開発の凍結を決めたのは、F1を統括するFIA(国際自動車連盟)のマックス・モズレー会長。絶え間ない技術進化がウリのF1なのに「なぜ?」と思うひとも多いかもしれないが、その狙いはエンジン開発費の削減と新たな環境対策技術のF1への導入だ。

ここ数年、様々な形で規制を強化し、巨額のエンジン開発費を押さえ込む努力を続けてきたFIA。しかし、現代のF1は自動車メーカー同士の技術力とブランドイメージをかけて全力で争う「戦場」であり、厳しい規制の中でもわずか数%のパワーアップのために莫大な予算が投じられている。そこで、規制をさらに強化し、向こう10年間のエンジン技術開発を全面的に禁止。その代わりに2009年から減速時に発生するエネルギーを何らかの形で回収して加速時に「再利用」する「エネルギー回生装置」の使用を解禁。これまでエンジン本体の開発に使ってきた予算を、F1でもハイブリッドエンジンのような環境技術開発に振り向けさせようというのである。

ちなみに、減速時のエネルギーを再利用する「エネルギー回生」はハイブリッドカーなどですっかり一般的な技術。FIAが導入を検討しているのも基本的な考え方は同じで、電気の形でエネルギーを回収して補助モーターを駆動するハイブリッドカー的なものから、油圧、慣性を利用したものまで様々な方法が検討されている。FIAとしてはエンジン本体の開発を禁止する一方で、エネルギー回生技術では開発の自由度を残し、この分野でメーカーに技術力を競わせることで、環境技術に貢献するF1というイメージをアピールしたい思惑があるようだ。自動車レースの頂点であるF1の世界でも、今や「エコ」を無視できない時代に突入しているのである。

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