話題のハンドボール。その背景と基礎知識

ハンドボール再試合に中東勢が抵抗する理由

2008.02.07 THU



写真提供/北村大樹/アフロスポーツ
通ならば「ありえない」五輪予選の再試合で注目を集めたハンドボール。再試合のきっかけは、去年9月、日本で開催された男子北京五輪予選でのクウェートびいきの判定、いわゆる「中東の笛」にある。特に韓国・クウェート戦では、1試合60分間で38回の誤審があり、そのすべてがクウェートに有利な判定だった。クウェートの優勝に異議を唱えた韓国と日本に対し、昨年12月、IHF(国際ハンドボール連盟)は、アジア予選のやり直しを理事会で可決した。

元々ハンドボールは、ヨーロッパで「手でやるサッカー」として生まれた。ドイツとスペインの2大プロリーグを中心に、ヨーロッパで人気だが、中東が発祥ではない。

では、なぜクウェートがここまでハンドボールにこだわるのか? それはAHF(アジアハンドボール連盟)が、70年代にクウェートの王族によって設立されたことに端を発する。現在の会長は創設者の息子で、最近までエネルギー相(昔の石油相)を務めた権力者。ハンドボールに限らず、サッカーなどでも己の力を誇示し続けてきた。会長の取り巻きも「殿下に恥をかかせられない」と、あらゆる手を使って、クウェートが勝つシナリオを作り出す。

日本は再三、大会の正常化を求めてきたが、IHFの「アジアの問題はアジアで」という姿勢もあり、10年以上前から放置されてきた。第三者の目に触れる機会がほとんどなかったため、「中東の笛」はある種、「都市伝説」のような扱いだった。それが去年の予選で明るみに出て、今回の再試合へとつながる。

フェアな条件の下、東京の代々木第一体育館で行われた再試合は、男女とも韓国が勝ち、日本は世界最終予選に回ることになった。再試合に参加した日本と韓国に「制裁を加える」と通達していたAHFの今後の動きは不透明。2月中旬の男子世界選手権アジア予選に、日本が出場できなくなる危険性もある。空前のフィーバーが落ち着いた後も、日本のハンドボールは理不尽と戦い続けなければならない。

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