鈴木亜久里の偉大なる冒険が終焉

スーパーアグリを悩ませた有力国内スポンサーの不在

2008.05.22 THU



桜井淳雄=写真photography ATSUO SAKURAI
「2006年よりスーパーアグリF1チームとしてF1の世界で戦ってきましたが、本日、その活動に終止符を打つことになりました」。GW最終日の5月6日、スーパーアグリF1の鈴木亜久里代表は記者会見を行い、静かに「冒険の終わり」を宣言した。

深刻な資金難で一時は今季の参戦自体も危ぶまれていたスーパーアグリ。最後の手段として期待された英国、マグマ・グループへのチーム売却交渉が4月のスペインGP直前に決裂し、その後は別のドイツ企業との交渉も続けていたのだが「結局、トルコGPまでの1週間でできることに限界があった」と亜久里。これまで全面的な支援を続けてきたホンダも、自立したチーム運営の見込みが見えないなかでサポートを続けることはできなかったようだ。

昨年のメインスポンサーとなるはずだったSSユナイテッドの契約不履行やF1レギュレーション変更をめぐるチーム間の混乱など、いくつかの不運が重なったのも事実だが、年間の参戦コストが最低でも100億円は下らないといわれるF1の世界で最後まで十分な資金が集まらなかったことが今回、こうしてスーパーアグリが消滅に至った最大の原因であることは間違いない。「ボーン・イン・ジャパン」のキャッチフレーズで佐藤琢磨、鈴木亜久里という日本F1界のカリスマふたりを擁し、多くのファンからの熱い支持も受けていたこのチームが、結果的に最後まで大口の日本企業によるスポンサーを得られなかったという事実はどうしようもなく重い。

世界中に数億人のテレビ視聴者がいるF1は、グローバルなマーケットにアピールする絶好の機会。だからこそ多くの一流企業がスポンサーになっている。当然、世界市場を相手にする日本企業も十分に利用価値があるはずなのだが、一体、何が彼らをF1から遠ざけているのだろうか? 「亜久里の冒険」に早い時点で誰かが夢を重ねていれば、もっと大きな夢の続きが見られたかもしれないのに。

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