週末おでかけレシピ

第1回 普段降りない駅で待つ“冒険”とは?

2009.01.23 FRI

週末おでかけレシピ


イラスト/キー坊 「店頭に食材が置かれていない」「のれんや看板が読みやすい」「周りに店がある」。この3つが、伊藤さんの経験から導き出された、美味しいお店を見分ける方法なのだそう

見知らぬ街で“いいお店”を見分けるコツって?



日ごろ、何気なく通り過ぎている自宅~会社間にある駅。仕事に追われる普段は、眠気と闘う出社&疲労困ぱいな帰路で、電車が停まるたび「まだかよ~」と溜め息まじりのイラつきに襲われるけど、ちょっと早めに仕事を切り上げられたフリーな夜や、ゆっくりできる週末には、いつもの通勤コースから一歩飛び出し、途中駅に降り立ってみてはいかが? 確かに、知らない駅で降りるのは少々ハードルが高いかもしれないけど、冒険心を高めて実行すれば何か素敵なものと出会えるかも。たとえばそれが、いいお店&美味しいご飯だったら。

しかし、ちまたに飲食店があふれる飽食な現代。なじみの街ですらお店探しに困惑するのに、ましてや知らない街で、やみくもにチャレンジするのは残念な結果に陥るおそれが高そう。微妙な料理にウン千円も払うよりは(経験アリ)、「うぉー!今日はウマいもんに巡り会えたぜー!」と、胃袋も心もほっかほかで街をあとにしたい。ということで、美味しいお店を見分ける方法はないのか!? と、25年以上も自腹で食べ歩き続け、現在『大人の食べ歩き』というサイトで大人のためのグルメ情報を発信している伊藤章良さんに、見分け方のコツを聞いてみました。

「ひと昔前までは、ある程度、お店の外観で判断することができたのですが、インターネットで口コミなどが普及している現代では、お客が築いた美味しいお店の店構えといったセオリーを、お店が簡単に取り入れられるようになってしまい。その結果、店の外観から判断するのが難しくなってしまったんです。ただ、僕自身の経験から、しいて言うなら、美味しいお店との出会いは繁華街から離れたところにある場合が多い、ということでしょうか。やはり、商業ベースに乗っかってしまうと、味の追求より利益が優先されてしまうので。なので、大きな駅では改札口がいくつかあると思うのですが、まずは駅ビルなどが立っていない地味な改札口に出て、その街一番の繁華街からは離れたところをブラついてみてください。そして、3~5軒程度、飲食店が並んでいるあたりに目星をつける。なぜなら、周りに数軒お店がある方が、お店同士が切磋琢磨するので、味やサービスの追求を怠っていない可能性が高いんですよ」

なるほど、その数軒のなかから見分けるポイントはありますか?

「使う食材をあえてディスプレイに使っていたり、仕入れた食材を店頭に放置しているようなお店は避けるべきですね。やはり、食材は料理人にとって命のはずですから、お店の方が食材を大切に扱っているかどうかは非常に重要です。あとは、のれんや看板のデザインや書体が読みやすいことでしょうか。店名には店主の想いが込められているはずなので、これが見にくいお店は、あくまで僕の経験則ですが、あまりおすすめはしませんね」

ふむふむ。では、いざお店に入ったあと、数あるメニューのなかから美味しい逸品にありつくコツってあるのですか?

「お店の方のおすすめ=今日中に売りたいものといった場合が多いので、お店の方のおすすめにそのまま従うのではなく、メニューを隅々まで読み、書き方やメニュー名にひと工夫施されているものを注文するといいですよ。たとえば、『○○産』などと産地が書かれた食材を使っている料理とか、平易な言葉で料理法が説明されてる料理とか。メニューはお店とお客とのコミュニケーションツールのひとつですから、会話からでは聞き出すことができない想いや愛情がつまっている場合が多いんです。それを感じとるためにも、熟読していただきたいです」

おいしい出会いは、店主の愛情が感じ取れる店作りにあるのかもしれませんね。とはいえ、これは、あくまで傾向。見知らぬ街での冒険を楽しむためには、リスクもスパイスくらいの遊び心も必要なのかも。
このたび、おじゃまさせていただいた、麦とろと伊勢芋料理のお店『里乃や』さん。写真は、その伊勢芋を使った「淡雪とろろ」。和食中心の料理はどれも美味しく、ほんと巡り会えてよかったです! 料理のほかに、日本酒や焼酎などお酒の種類も豊富。今度は完全にプライベートで訪れたいです

果たして美食は待っているのか?普段通り過ぎる駅に降りてみた!



美味しいお店の見分け方をマスターしたところで、さっそくそのハウツーをもとに、普段通り過ぎる駅へ冒険に繰り出そうではないか! ということで、R25編集部に行くまでの間にある、普段降りない代々木駅で冒険を敢行することにしました。

この代々木駅、新宿駅のお隣という大都会の中心に位置しているにもかかわらず、いまだかつて降りたことがなければ、足を踏み入れたこともない。そんな未開拓かつ方向感覚すら危うい街で、果たしてうまく美食にありつけるのか!? 不安と期待を抱えながら帰宅ラッシュの電車を降り、ロータリーが広がる西口を避けて、ネオンのきらめかない北口に出てみました。予備校や専門学校のメッカだけあって、画材バックやヘアクリップの刺さった大きなトートバックを抱えた学生さんが多い。しかも、メガネ率高し! そんな学生さんや、帰路を急ぐサラリーマンが足早に通り過ぎる北口周辺をあとにし、さっそく街の散策を開始。歩きながら、駅周辺にそびえ立つビルの間を見上げると、数百メートル先にはタカシマヤタイムズスクエアなど新宿のネオンがはっきりと見えるにも関わらず、街の雰囲気はいたって静か。小さな路地がいくつもあり、その路地に入ってみると、赤提灯がぶら下がる郷土料理のお店や、昭和の趣きが残る米屋なんかがひっそりと佇んでおり、東京のど真ん中とはいえども、郊外に訪れたような、ちょっとした一人旅気分に浸ってしまいます。また、いくつもの商店街がクロスしていることもあり、地元民ならではの活気みたいなものも漂っていて、一人で歩いても寂しさに襲われない。むしろ、ちょっぴり心が温まります。しかし、一方で、ロータリーが広がる西口方面へ向かってみると、牛丼屋や大型のコーヒーチェーン店、居酒屋、パチンコなどネオンがキラッキラ。

と、様々な表情を持つ代々木の街を歩いていると、腹の虫が鳴きはじめました。時計を見ると20時をまわっている。そこで、さっそく、25年以上もの食べ歩きの経験を持つ伊藤章良さんの教えをもとに一見さんにチャレンジ! 基本のポイントは「店頭に食材が置かれていない」「のれんや看板が読みやすい」「周りに店がある」。それをふまえて、お店の外にメニューが書かれた看板が置いてあり、料理の雰囲気とある程度の価格が把握できた『里乃や』(さとのや)さんという居酒屋風のお店に入ってみました。

どうやらこのお店は「伊勢芋」という三重県特産の山芋を使ったとろろ料理がウリみたいです。伊勢芋!? 食べたこともなければ、聞いたこともない。た、食べてみたい! ということで、さっそくこの伊勢芋を使った「淡雪とろろ」という料理をオーダー。果たして、そのお味はというとうまーい!! 山芋なのに箸ですくえる弾力、その口あたりはまさに淡雪! 一品では足りず、続けて山芋料理を2品ほど追加し、その後も、仕事であることを忘れる勢いで料理の数々を堪能してしまいました。そう、途中下車の先には新たな食材と美味しいお料理との出会いが待っていたのです!

ただ、伊藤さんいわく「私だって、毎回美味しいお店に巡り会えているわけではありません。でも、気さくで温かい店主の人柄や、幸せそうにくつろいでいる常連さんの表情など、そのお店ならではのいい雰囲気に出会えれば、料理がイマイチだったとしても、それはそれで素敵な思い出になります」なのだそう。

なるほど。たしかに今回も、『里乃や』さんの店内には、おそらく地元の方であろう家族連れのお客さんがいたりして、その親子のやりとりを聞いていると、なんだか微笑ましい気分にさせられたし、刺身のお造りをアテにゆっくりと日本酒を楽しんでいる初老の紳士の姿には、異性とはいえ憧れを抱いてしまいました。たとえ、美食に巡り会えなくても、そこでの様々な出会いが、イキでオツな途中下車の冒険にしてくれるのかも。読者のみなさんも、途中下車の先にある出会いに冒険心を募らせ、チャレンジしてみては? 前編で伊藤さんに教えていただいた見分け方のコツ以外は、
まさに右も左もわからない状態で体験してきた今回の企画。

通常、お店の取材などをする場合、
事前にアポを入れてからお店に出向くのですが、
今回はまさに体当たり。

いやしかし、そのかいあってか、巡り会えた瞬間は感動もひとしお。

たとえ途中下車とはいえ、
知らない街を散策するのはそれだけでも発見があっておもしろいですよ。
ちなみに私は、今回の途中下車で、
500mlのペットボトルが50円で販売されている自動販売機を発見しました。

さて、今後も、ちょっとした工夫で楽しめるお出かけのアレコレを検証&体験していきます。
また、読者のみなさんからの「こんな計画を立てて楽しんでます」とか
「お金をかけずに、休日を満喫する方法はないのか?」など、
ご意見・ご質問お待ちしております。どしどしお便りくださいね。
体を張って、体験していきたいと思います!

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