目指せ、2016年TOKYO!? 

第11回 五輪の伝統「近代五種」ってナニ!?

2009.05.28 THU

目指せ、2016年TOKYO!? 


伝令が戦場を馬で駆け抜けたことから種目のひとつとなった「馬術」。単体の馬術競技よりも、難易度は低い。水泳、フェンシング、馬術の3種目は、基準点1000点が各選手に与えられ、成績によって得点が増減するというルール

キング・オブ・アスリート!五輪の「近代五種」ってどんな競技?



約半年にわたって五輪競技について調べてきた五輪ライター・コバヤシです。超アナログな綱引競技から、世界一過酷といわれる犬ぞり競技まで、様々な競技について調べてきたのですが、ここにきて、ヒジョーに気になる競技がひとつでてきたんです。

それは「近代五種」という競技。

五輪競技の中でも「キング・オブ・アスリート」と称されている競技なんですよ。どうせやるなら、頂点の競技で頂点の金メダルを目指してみたいと思うわけです。果たして「近代五種」とはいったいどんな競技なのか、(社)日本近代五種・バイアスロン連合の広報部の方に教えていただきました!

「近代五種とは、ひとりの選手が射撃、水泳、フェンシング、馬術、ランニングの5種目をこなして順位を決める複合競技です。まず水泳と馬術、フェンシングを個別種目として行い、3種目での総合得点を算出し、その順位で最後のランニングのスタート順を決めます。ランニングには途中射撃ポイントがあって、5つの的を射抜いてから、ゴールまでまた走り、その順位を競うという競技です」

なんだかトライアスロンをもっと大変にした競技って感じですね。でも、どうして近代五種が「キング・オブ・アスリート」という異名を持っているんでしょう?

「近代五種には歴史的背景があって、19世紀ナポレオン時代以降の戦場で、敵陣を偵察し、戦況を自軍にいち早く伝える任務を担っていた斥候(せっこう)部隊の軍人が、馬に乗って敵陣をくぐりぬけ、銃と剣で敵を倒し、川を泳いで渡り、走って自軍に重要な情報を伝えたという故事があります。これをもとに近代オリンピックを創立したクーベルタン男爵が、古代五輪で行われていた古代五種(レスリング、円盤投げ、やり投げ、走り幅跳び、短距離走)になぞらえて近代五種を作ったといわれています。激しい戦火の中、戦場を駆け抜けた戦士は軍人の中の軍人。ですから近代五種の選手は、現代のアスリートの中のアスリートというわけなんです」

でも、ひとつの競技の技を身につけるだけでも大変なのに、5種目もの競技の技を磨くのはすごいことですよね? 難しすぎて競技人口が少なくなってしまう気も。

「日本では競技人口は確かに少ないですが、ヨーロッパではとても人気がある花形競技です。また近代五種は、古代五輪の精神を受け継いだ、オリンピックの原点ともいえる伝統的競技。五輪ではこうした競技は特別に正式競技から除外しないようにしているんです」

え! そんな特別枠があったんですか! じゃあ、国内にライバルが少なくて、しかもずっと正式競技のままなら、ワタシにだって選手になれる可能性が高いかも! これはけっこうな穴場競技かもしれません!

こうなったら、「アスリートの頂点」目指して、近代五種の選手になるしかない!?
朝霞駐屯地の射撃練習場で朝から練習にいそしむ選手たち。みなさん「マイ銃」をお持ちです。練習では本番に使用するのと同じエア弾を使用

五輪競技の「近代五種」体験のため自衛隊朝霞駐屯地に潜入してみた!



五輪競技のなかでも「キング・オブ・アスリート」の異名を持つ「近代五種」。ひとりの選手が、射撃、水泳、フェンシング、馬術、ランニングの5種目をこなさなければならないというその過酷な内容に、すっかり魅了されてしまったドMな五輪ライター、コバヤシです。

思い立ったが吉日ということで、実際に「近代五種」を体験するために「日本近代五種・バイアスロン連合」に突撃取材をお願いしてみると。

「自衛隊に取材申請をしてください」との返答が!

え!? ナゼに自衛隊!? よくよく聞いてみると、日本の近代五種選手は、自衛隊か警察に所属している人がほとんどだそう。

というわけで、さっそく自衛隊への取材申請をして、人生初の(たぶんこれで最後)自衛隊へ潜入をしてまいりました! 選手が練習に励んでいるのは、朝霞駐屯地の中にある「自衛隊体育学校」。学校といっても、選手たちもれっきとした自衛官。みんな公務員試験をパスして入隊し、自衛隊の基礎訓練を受けてきた人たちなんです。

ちなみに1日の練習メニューは
午前 射撃、陸上、フェンシング
午後 馬術、水泳

さっそく、1日で5種目全部を練習するという超人的メニューをのぞいてみることに。

まずは、射撃の練習に潜入! ピーンと張りつめた雰囲気の中、エア弾を使った射撃訓練が行われています。さすが、自衛隊! 選手のひとりである富井慎一さんに話を聞いてみました!

「僕はまだ入隊して5年です。大学で水泳をやっていて、競技会でスカウトされて入隊しました。水泳で上を目指すにはちょっと実力不足かなと思っていたので、5種目の総合で戦える近代五種に転向することにしたんです。」

ひとつの種目で五輪を目指せないなら、5種目をバランスよく訓練して上を目指そうっていう逆転の発想ですね。

お次は、屋外の乗馬練習場へ。まだ入隊2年目という最年少女性選手の豊民彩花さんに突撃取材を敢行!

「自衛官の父の勧めで入隊しました。五輪を目指そうなんて思ってもいなかったのですが、近代五種は他競技から転向してくる選手が多くて、この歳からでも五輪を目指せる競技と聞いて、チャレンジしてみることにしたんです」

え!? 本当に20歳過ぎからでも五輪選手を目指せるんですか? 選手たちの指導にあたっている自衛隊体育学校・近代五種競技監督の才藤浩さん、教えてください!

「近代五種は5種目を極めるというより、すべての種目をバランスよくこなす能力が求められる競技なので、20代からでも比較的五輪を目指しやすいんです。実際に北京五輪で日本代表に選ばれた村上佳宏選手も、練習を始めてたった8年で五輪の切符をつかみました」

そのネーミングから、かなりハードルが高い競技かと思いきや、一度は五輪選手への夢をあきらめた選手たちが再チャレンジできる、懐の深い競技だったんですね。

これなら三十路目前のワタシでも挑戦できるかも!? あ、でもまずは公務員試験に受からなきゃ。とりあえず、予備校探しからはじめるか! 「近代五種」という未知の競技に触れた今回の取材。
まさか自衛隊に潜入することになろうとは。

今回の取材で印象に残ったのは、
いったんは五輪への夢をあきらめた選手たちが、
「近代五種」という競技に出会って、
また五輪への夢を持ち始めているキラキラした姿。
そう、一度や二度の挫折でへこたれていては、
五輪選手になどなれないのです!

ワタシもあきらめずに、五輪選手になる方法をアグレッシブに探していきます!
でもなんとこの連載、次回で最終回って知ってました?
まだどの競技で選手を目指すのかさえ、決まっていないんですケド。

でも、心配ご無用!
なにがなんでも五輪に参加したいライター・コバヤシは、
選手以外で五輪に参加できる方法を血まなこになって探すことに。
そんな虫のいい話ってアリ!? って感じですが、こうご期待!

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本レポートも残すところあと1回となったのですが、
6月からは新連載「やっぱり☆ネコが好き!」がスタート!

ネコにまつわるアレコレを探っていきますので、
気になるネコネタや、ネコに関する不思議など
素朴な疑問をどしどしご投稿ください!

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