殻を破るなら旅に出ろ! のホント

第1回 (なんとなく)有給休暇がとりづらい!

2009.07.31 FRI

殻を破るなら旅に出ろ! のホント


「有給休暇をすべて取得した人の割合」でみると、イギリス・フランス・スペインと、欧州の国々が上位3位にランクインし、日本は11位とダントツの最下位。有給休暇をすべて取得できない理由の第1位としては「仕事が忙しく、休暇をとっている暇がない」(39.5%)、第3位には「とりづらい雰囲気」(23%)などが挙がっている。

みんな有給休暇って ちゃんと、とれてる?



オンライン旅行会社「エクスペディア」が実施した『有給休暇実態調査2009』によると、日本の「有給休暇取得率」は、仏、独、米、豪などの主要11カ国中、2年連続堂々の最下位。さらに「有給休暇をすべて取得した人の割合」の項目では、1位・イギリス(79%)はもちろん、ワースト2の10位・ニュージーランド(55%)にも大きく水をあけられ、最下位日本(8%)という切ない結果なんだそう…。

そういや、毎年某避妊具メーカーが行っている年間セックス回数ランキングでも、日本が最下位だった気が…。休暇モトラズ、性交モセズ…って。まぁ、お国柄もあるんでしょうけど、ストイックすぎやしませんか? ニッポン。

ただ、この“休暇の荒野”ともいうべきニッポンで、ひとり気を吐く人物も…。

『仕事が忙しいあなたのための週末海外!』(情報センター出版局刊)の著者、吉田友和さん(32歳)は、大学卒業後、出版社に就職。25歳の時に退職し、初めての海外にして、なんと世界一周の新婚旅行へ出かけてしまったという経歴の持ち主。

吉田さんは現在、以前勤めていた出版社に再就職。日々の仕事をバリバリこなすかたわら、週末+有休を駆使して旅を重ねるライフスタイル「サンデートラベラー」を実践中なのだそう。

「今でこそ積極的に有休をとっていますが、昔は全然休んでいませんでしたね。毎年、有休の繰り越し上限は超えていたし、1週間編集部に泊まり込みなんてこともザラ。それでも、仕事は面白かったし、働き方に対してあまり疑問は持っていなかったんです。ただ、世界一周を終えて再就職してみると、少し考え方が変わっていたんです。旅の楽しみを知ってしまっていたし、世界のいろいろな国を旅してみて“仕事だけが人生じゃない”と思うようになっていて…」

「サラリーマンだって、旅したい!」と思った吉田さん。本音を言えば、1年に1カ月ぐらいのまとまった休みが欲しいものの、現実的には無理。ならば、と週末+有休の旅をしてみたところ、これが意外なほど面白かったという。

「長旅の後だったので、正直物足りないかなと思っていたんです。でも、実際にやってみると、週末海外には、サラリーマンにしか味わえない旅の楽しさがあったんです」

ちなみに吉田さんは、昨年だけでも、GW、夏休み、年末年始を含め、1年間で13回も海外を旅したそう。でも、どうやったらそんなに有休がとれるの?

「仕事をある程度こなしたうえで、“旅キャラ”を確立するのがポイント。『あの人はいつも旅ばっかりしているから…』と思われれば、有休はガゼンとりやすくなりますよ。そもそも有休をとれないっていうのは、物理的な理由よりも、むしろ精神論的な部分が大きいと思うんです。みんなが気を遣いすぎているというか…。最近は世の中的にも休暇取得を奨励するような風潮があるので、その点でもずいぶん有休をとりやすくなっていると思いますね」
初めての海外にして、世界一周新婚旅行に旅立った吉田さん夫妻。607日間に及ぶ旅のルートは、東南アジア→中国→インド→アフリカ→ヨーロッパ→アメリカ→南米だったそう。写真はアフリカ南西部の国ナミビアのナミブ砂漠
吉田さんによると、“旅キャラ”を確立する主なポイントは以下の通り。

・自分がいかに旅好きなのかをアピールする。
・旅行に行く時は嘘をつかずにきちんと公表する。
・旅行以外の理由では極力有休をとらない。
・普段から仕事で上司ににらまれない程度の成果を残す。
・職場へのお土産は欠かさない。

ひとつとして実践したことのない自分は、完全に“旅キャラ”度ゼロだったんですね…。そりゃ休みづらい。

「はぁ~、ぶらりひとり旅でも行きたいなぁ~」

とりあえず今、言ってみました。オフィスで。
タイを訪問中の吉田さん。写真は、タイの水かけ祭り『ソンクラーン』の様子だ。ちなみに、週末に組み合わせるなら、月曜よりも金曜がおすすめらしい。主な理由は、週末の方が職場からフェードアウトしやすいし、街が盛り上がるから!

サンデートラベラー直伝! 週末海外の行き先&旅行術



25歳の頃に経験した世界一周新婚旅行をきっかけに、旅の魅力にどっぷり。今や年間50日は旅をするという“サンデートラベラー”吉田友和さん。では、週末+1日の有休で行ける、初心者にもおすすめの海外は?

「物価の安さやフライトスケジュールなどを考えると、アジアが最有力。成田出発だと、韓国や台湾、タイなどが便数も多く便利ですが、なかでもタイがおすすめですね。東南アジアのタイまで行けば、異国情緒も十分味わえますし、バンコク周辺には世界遺産のアユタヤなどの見どころも点在。ゴハンも美味しいし、人も優しい。タイは3日間でも楽しめる“間違いない”旅先ですよ」

吉田さんによると、週末+有休の旅は、時間をどれだけ有効に使えるかがポイント。深夜便を活用してできるだけ滞在時間を確保する、ホテルをオンラインで予約して宿探しの手間を省く…など。出発前の計画もかなり大事なのだとか。ちなみに3日間の旅の予算は、10万円以下。

また、吉田さんは最近、金曜の午後に半休をとり、空港へ直行。午後便で旅立つことが多いそう。

「実は、これがサラリーマン旅ならではの醍醐味のひとつなんです。直前まで忙しく働いてから旅に出る瞬間は、たとえて言うなら“ギリギリまで飲み物を我慢した後に、グビっとビールを飲み干す”感じ。成田空港の滑走路から飛行機が離陸した瞬間に『プハァ~、脱出!』って、ガッツポーズですよ」

旅を目前に控えると否が応でも集中力が上がり、仕事がはかどるという副産物もあるのだそう。

ところで、そろそろ夏休み。1週間くらいの休みでおすすめの旅先は?

「1週間あれば、南極などの秘境以外なら世界中のどこへでも行けますね。初めての海外旅行なら、フランスやスペインなどの南欧がおすすめです。そうそう、この春に1週間ほど旅したイスラエルも、かなり面白かったですよ」

イ、イスラエルですか。ちょっと物騒なイメージが…。

「いえいえ。実はイスラエルって、大観光地なんですよ。ユダヤ教・イスラム教・キリスト教それぞれの聖地・エルサレムには教科書クラスの観光名所がゴロゴロしているし、首都のテルアビブは、高層ビルの目の前にビーチが広がっていて、ビキニ姿の女の子がビーチバレーしていたりもする。もちろんガザ地区などの危ない地域もありますが、実際にイスラエルに行ってみると、日本での報道やイメージがかなり偏っているんだなぁって思いましたね」

まさに“百聞は一見に如かず”。こうした発見も、旅の魅力のひとつなのだそう。

それにしても吉田さん。25歳まで一度も海外旅行をしたことがなかったのに、今では月イチ以上のペースで旅に出るなんて…。どうしてそんなに“旅”にハマったんですか?

「よく“自分探し”がどう…とかいうけれど、僕はあまり深く考えすぎず、旅は純粋にエンタテインメントだと思っています。お金を払って、楽しく遊ぶ。そういう意味では、遊園地に近いのかもしれませんね」
吉田さんが夫婦で1週間ほど訪れたイスラエル。聖地・エルサレムには、「マリア様がキリストを見守った教会」…なんていう歴史的な建物がゴロゴロしていたそう
さらりとおっしゃいますが、大のオトナがほぼすべての有給休暇を注ぎ込んで遊園地に通うっていうのは、相当な事態なわけでして…。まぁ要は、旅はそれだけ面白いエンタテインメントだってことですね、きっと。

あぁ、旅の先輩の話を聞いていたら、なんだか旅してみたくなってきた…。

「あ~、なんだか旅に行きたいな~」

おっ、隣の先輩が僕をちら見しましたよ。今。



  知ってましたけど、日本人ってやっぱり働きすぎなんですね。
しかも、有休をとれない理由が、『とりづらい雰囲気だから』っていかがなものかと。

ただ、そんな日本にもようやく最近、メンタルヘルスケアの観点などから
総労働時間を減らして余暇を充実させよう!という流れがあるようです。
これからは、週末を使って海外旅行に行く人が増えてくるのかもしれません。

さて、今回の取材で印象的だったことがあります。
それは「旅はカタチに残らないから、旅に投資するのはもったいないのでは?」
という僕の質問に対して、吉田さんが言ったひと言でした。

「食事もカタチには残らないけど必要なもの。食事と旅は似ているかもしれませんね」

旅は心の栄養ってことなのかなぁ。ちょっとキレイすぎ?

というわけで『旅で殻を破れるの?』を探る本コラム、スタートしました。
今後もいわゆる旅の先輩たちにいろいろと話を聞いていきたいと思います。

知っておきたい旅行テクや、聞いてみたい旅の達人の話など、
旅に関する疑問や質問、みなさんからの投稿もお待ちしていまーす。

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