殻を破るなら旅に出ろ! のホント

第7回 男一匹。テーマを持って旅をせよ!

2009.10.23 FRI

殻を破るなら旅に出ろ! のホント


クロアチア・ザグレブのスタジアムの様子。川内さんは、日本とはひと味違う、欧州サッカーの熱狂的な雰囲気に魅了されたのだそう

チャンスをつかむなら旅に“テーマ”を持つべし!?



はじめての海外旅行を夢見る、私、渡 歩(わたり・あるく)。本連載の取材を通じて旅の達人たちの劇的な話を聞くうち、「せっかく世界を旅するなら、人生が変わるような、劇的なチャンスをつかみたい!」なんて憧れも感じています…。が、どうすりゃいいの?

「なにかひとつでも自分なりの“テーマ”や“目的”があると、旅はずいぶん面白くなるし、ディープな体験もできるはず。“食”でも“建築”でも、興味のあるものなら、何でもOK。もしかしたら大きなチャンスともめぐり会えるかもしれませんね」

とは、『サッカー馬鹿 海を渡る』(水曜社刊)の著者で、現在スペイン・バルセロナを拠点にサッカーライターとして活躍する川内イオ(かわうち・いお)さん。世界のサッカーを“テーマ”に旅を続け、プロのサッカーライターへのチャンスをつかんだという同氏。サッカーファンなら誰もが憧れる経歴の背景には、いったいどんなヒストリーがあったのか? まずはそこんとこを直撃!

川内さん!幼稚園時代からサッカー大好き少年だったそうですが、はじめてサッカーを“テーマ”に旅をしたのは、そもそもいつだったんですか?

「2001年、大学時代のイタリアひとり旅が、ボクの海外サッカー旅デビュー戦でした。はじめて足を踏み入れたイタリアのスタジアムには、過激なコールや、一触即発の両チームのファンたち、ゴールした瞬間の割れんばかりの歓声など、日本にはない熱気が満ちていて…。その雰囲気に、ひたすらシビレましたね。それにサッカーって、世界共通の話題なんです。旅先ではスタジアム以外の場所でも、いろんな国の人とサッカーの話をきっかけに仲良くなれて、それがまたうれしかった。この旅以来、休みのたびに海外サッカー観戦旅行へ出かけるようになったんですよ」

こうしてサッカー旅にハマッた川内さんは、大学卒業後、広告代理店に就職。しかし、約9カ月で退職し、フリーライターに転身したという。

「会社を辞めた最大の理由というのが、仕事があまりに忙しすぎて2002年の日韓W杯が満足に観られなかったことなんです。心待ちにしていたイベントだっただけに、『W杯の観られない人生なんて間違っている』って(笑)。ただ、サッカーライターに憧れて、なんとかライターになったのはいいけれど、サッカー業界は想像以上の狭き門。きっかけをつかめないまま、サッカーとは関係のない仕事ばかりが増えていって…。そうこうするうち、ドイツW杯が目前に。W杯を観るためにと会社まで辞めたのに、コレではマズイ、と」

2005年末。こうして川内さんは一切の仕事を打ち切り、世界一周“サッカー”の旅を決意する。

「もともと旅人として、世界一周には興味があったし、せっかくならただ漫然と旅をするのではなく、世界のサッカーにどっぷり浸かりたいと思ったんです。それで、50万円ほどで世界一周チケットを買い、1年間で豪州、中南米、欧州、中東、アフリカ、アジア…など、各国のサッカーシーンを見て回る予定を立てました。もちろん旅のメインディッシュは、夏のドイツW杯です」

世界一周“サッカー”の旅。実はこの計画が、憧れのサッカーライターへの第一歩になったそう。

「ダメもとで送った『ジーコジャパン勝利のヒントを探して、バックパッカー世界を巡る』という企画が、幸運にも某スポーツ雑誌の編集長の目にとまったんです。で、出発の1週間ほど前に同誌での連載が決定。なんの実績もなかったボクが、なんとかサッカー業界にもぐり込めたのは、間違いなく旅のおかげ。とにかく競争の激しいサッカーライターの世界ですが、旅人サッカーライターというのは珍しかったのかもしれませんね」

こうして、世界へ旅立った川内さん。連載を持つ身とはいえ、記事を書くのは月わずか2回。南米・ブラジルでは、リオのカーニバルを観覧しつつ、里帰り中のジーコ監督(当時)を直撃取材するなど、旅人&サッカーライターを兼業するユニークな旅を続けていたとか。
そして、2006年夏。単身ドイツに乗り込んだ川内さんは、連載中のスポーツ誌のスタッフとして、日本代表に密着取材するチャンスをゲット。さらに現地で出会った先輩ライターからバルセロナ行きを勧められ、迷わず移住。現在のサッカーライターとしての礎を築いたというのだ。
ペルーの世界遺産『マチュピチュ』を訪れる川内さん。サッカーをテーマにした旅とはいえ、きっちり観光も楽しんでいたという
世界を渡り歩く、いちサッカーファンから、プロのサッカーライターへ。川内さんは、旅人という立場と機動力を生かし、チャンスをつかんだってわけですね。う~ん、カッコいい!

男一匹。せっかく世界へ出るなら、やっぱり自分なりの “テーマ”を突き詰めるべき!?
さて、ボクの“テーマ”はなんだろう? うーん。うーん。うーん…。しばらく考えます…。
現在、川内さんが住む、バルセロナの風景。奥に見えるロケットのような建物は、世界遺産『サグラダ・ファミリア』だ!

海外在住サッカーライターに直撃! 南アフリカW杯、大丈夫ですか?



学生時代から世界のサッカーをテーマに旅を続け、憧れのサッカーライターへの道を開いた川内イオ(かわうち・いお)さん。後編では、バルセロナ在住の同氏に、現地情報を聞いてみたいと思います!
川内さん! 本日のバルセロナはどんな感じですか?

「こっちは、ほぼ毎日快晴で、ごはんはおいしいし、人が優しい。それに何より、サッカーがあります。バルセロナに住んで3年になりますが、相変わらず最高の街ですよ。今シーズンは、地元チーム・エスパニョールに中村俊輔選手が加入したので、ちょっとした“俊輔フィーバー”も。サッカーファンにはぜひ一度来てほしいですね。もちろん、アントニオ・ガウディの代表作で世界遺産の『サグラダ・ファミリア』をはじめ、観光的な見どころもいっぱい。単純に旅先としてもお勧めですよ」

なるほど。たしかに、バルセロナって、けっこう“旬”な旅先ですよねー。
ちなみに、このタイミングで海外サッカーの“旬”といえば、やはり気になるのは来年の南アフリカW杯。川内さん! 南アフリカについて、何か情報ありませんか?

「南アフリカには、コンフェデレーションズカップの取材で1カ月ほど滞在しましたが、すごく楽しかったですね。人々は陽気でホスピタリティにあふれているし、さすがに自然も豊か。なにより、歌とダンスが入り交じった南アフリカのサッカースタジアムの雰囲気は、ヨーロッパとも南米とも全く違う。本当に感動しましたよ。サッカーファンにはあの熱狂を、ぜひ楽しんでほしいですね」

歌とダンス! それ観てみたいです! ただ、南アフリカといえば、どうにもこうにも心配なのが治安面。首都のヨハネスブルグは“世界最悪の治安の街”で、『北斗の拳』的世紀末スラムだというではないですか! 護身用ペットとしてハイエナが流行っている、なんてウワサも耳にしたこともあるんですが…。大丈夫でしょうか? 治安がいいとされている日本から、そんなハードコアな場所に行ってしまって…。サッカー観戦どころか、うっかりサッカーボールにされちゃったりしませんかね?

「実はボクも南アフリカに行く前、かなりビビッていました(笑)。ただ、実際は1カ月の滞在で危険な目には一度も遭いませんでしたよ。むしろサッカーの試合がある日のスタジアム周辺は、かなり安全な印象。政府も治安面には、かなり気を遣っているんじゃないでしょうか。もっとも、一部には治安の悪いエリアもあって、ボクも一度だけ怖いモノ見たさで行ってみたんですが、実際かなり怖かった…。まぁ、旅行者がうっかり迷い込むような場所ではないので、それほど心配する必要はないと思いますよ」
コンフェデレーションズカップ開催時の南アフリカのスタジアムの様子。川内さんいわく「とにかくアフリカならではの陽気な雰囲気が楽しい!」
なるほど。昔からけっこう奇跡的なうっかりをやってしまうタチなので、多少不安は残りますが、ひとまず安心しました。

それにしても、アフリカかぁ。すごく遠い場所というイメージがあるけど、行こうと思えば行けるんですよね。地球ですから。
W杯はいいきっかけ!? 南アフリカ行きも、ちょっと検討してみたいと思います!
 




  大好きなサッカーを観て、お金を稼ぐ。
サッカーファンなら誰もが憧れるサッカーライターという職業ですが、
それだけに、競争の激しい世界。
旅人だったり、スペイン在住だったり…。
他人とはひと味違った経験や視点が、役に立つんですね。
これってサッカーに限った話ではないのかも!?

ちなみに川内イオさんは現在、バルセロナを拠点に
中村俊輔選手が在籍するエスパニョールを徹底マークする
サッカー漬けの生活を送っているのだそう。
川内さんいわく「蹴球7日。最高の毎日」とのことでした。

W杯まで、あと少し。
とりあえずボクもエクスペディアで南アフリカのホテルをチェックしつつ
イメージトレーニングをしてみたいと思います。

というわけで『旅で殻を破れるの?』を探る本連載、
今後も各方面の旅の先輩たちの体験談やアドバイスを聞いていきます!
投稿もお待ちしていますので、よろしくお願いします。

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