殻を破るなら旅に出ろ! のホント

第8回 海外旅行は非常に危険です! …か!?

2009.11.06 FRI

殻を破るなら旅に出ろ! のホント


大学時代にロンドンでスカウトされ、傭兵として世界各国で様々なオペレーションに参加したというテレンス・リーさん。現在は危機管理コーディネーターや軍事評論家として、幅広く活躍する人物だ!

元傭兵テレンス・リー氏直伝! トラベル・トラブル防御策!



外務省海外邦人安全課が発表した『海外邦人擁護統計』によると、2008年だけでも5998人もの日本人が、世界各国でなんらかの犯罪被害に遭遇し、在外公館などのお世話になっているのだそうです。
本連載8回目にして、ようやく海外デビューのハラが決まったワタクシ、渡 歩(わたり・あるく)。はじめての海外旅行を前に、少々治安面に対してナーバスになっております…。

そこで、今回は、旅先でのトラブル回避術を身につけるべく、元傭兵で危機管理コーディネーターのテレンス・リーさんを訪問! あの~、テレンス・リーさん。やっぱり海外旅行って…、

「非常に危険です!! 実際、海外では旅行者を狙った様々な犯罪が横行しています」

や、やはり。たとえば、どういった犯罪が考えられますか。

「もっとも多いのが“窃盗”です。窃盗に関しては、旅行中はもちろん、自宅での荷造りの時点から対策が必要です。なぜならば、航空会社やホテルに預けた荷物が、そのまま盗まれてしまうケースがある。一度自分の手を離れた荷物に関しては、もはや防御のしようがない。ですから、預け荷物には衣類などの現地手配可能なモノのみを入れ、現金やパスポート、カード類などの貴重品は常に身に着ける。これは基本中の基本です」

旅行者を狙う犯罪者との闘いは、荷造りからすでに始まっているってことですね。
さらに、首尾よく現地に到着しても、次なる脅威が襲いかかる!!とテレンス・リーさん。

「空港からホテルへの道のりにも危険が潜んでいます。たとえば海外では、タクシーのぼったくり、遠回りは当たり前。メーターだって信用できませんからね。少なくとも海外訪問初日は、日本で信頼のできるホテルを予約したうえで、専用のシャトルバスや送迎バスを利用するのが賢明です。少々割高に感じるかもしれませんが、ちょっとした出費を削ったために、ボラれる、盗られる、逃げられる…では、結局高くついてしまいますから」

空港=危険。タクシー=危険。となれば、町中だってもちろん危険。そこは、スリや詐欺師、さらには強盗なんて輩が徘徊するデンジャラスゾーンなのだとか。
むぅぅ、テレンス・リーさん。もしも悪質な犯罪者に遭遇したらどうすればいいんですか? 『にげる』? それとも『たたかう』?

「いいえ。万が一強盗などに遭ってしまった場合は、身の安全のためにも決して逆らわないこと。それよりも被害を最小限に食い止めるための対策を、事前に講じておきましょう」

事前の対策? というと、靴底にお金を隠す的な?

「いやいや。彼らもプロなので、少々隠したところで無駄。すぐに丸裸にされますよ。それよりも、持ち歩く現金を最小限に抑え、トラベラーズチェックを活用しましょう。トラベラーズチェックは使用時に本人のサインが必要なうえ、盗難・紛失時の再発行が可能なので、比較的安全性が高いんですよ。ちなみにトラベラーズチェックやクレジットカードのサインにローマ字を使う人も多いですが、漢字がベスト。外国人には容易に真似できませんから」

さらに、パスポートや航空券、クレジットカードといった貴重品のコピーを取っておくことも大切。再発行手続きなどの時に役に立つのだとか。
バックパッカーの聖地として名高い、タイ・バンコクのカオサンストリート。東南アジアでも旅行者を狙った犯罪は頻発しているらしい
う~ん、なるほど。つまり、荷造りにせよ、移動にせよ、貴重品の管理にせよ、海外では「盗られること前提」で準備することが大切。最悪のシナリオを想定することで、被害を最小限に食い止められるってことですね。

ひとまず、テレンス・リーさん直伝の自衛術! 前編のおさらいです!

一、預け荷物は防御不能。貴重品は常時携帯すべし。
二、1泊目は空港から送迎のあるホテルを予約すべし。
三、旅行資金は極力トラベラーズチェックで持ち、サインは漢字を使うべし。
テレンス・リーさんいわく「町にはそれぞれのリズムがある」。写真はブラジル・リオデジャネイロのコパカバーナビーチ。ラテンのリズムも一度体験してみたい!!

町のリズムを感じろ!! テレンス・リー流自衛術!



元傭兵で危機管理コンサルタントのテレンス・リーさんによると、「海外では盗られること前提」で行動すべし!とのこと。が、そうはいっても犯罪に巻き込まれないのがベストなわけで…。にっくき犯罪者どもに狙われないようにするコツとか、ないんでしょうか。

「もちろん、あります。ただ、その前に、なぜ犯罪者に狙われるのかを知っておく必要があります。これ、実は日本人だから狙われていると思った方がいいんですよ。犯罪者というのは、いうまでもなく狙いやすい人間を狙うもの。日本人は全体的にお金を持っていますし、島国育ちで異民族に対するセキュリティの意識も甘いですからね」

つーことは、早い話、日本人だとバレなければいいわけですね。となると、変装ですか?

「変装というよりもね、なんで日本人ってバレるのかというと、町のリズムからはみ出しているからなんです。実は世界の町には、それぞれ人や車の動きに特徴があって、バンコクならバンコク、ニューヨークならニューヨークの、ロンドンならロンドン特有のリズムがある。日本人は島国育ちのせいで、このリズムをつかむのが非常に下手。というか、意識すらしないでしょう。だから、町を大きなフレームで眺めてみた時に、ものすごく浮いているんです。これは犯罪者から見ると、非常にわかりやすいカモなわけですよ」

下手でカモ。なんだか悔しいなぁ。でも、逆にいえば、現地のリズムに乗ることさえできれば、ステルス並みに犯罪者どもの目をかいくぐれるというわけですね。そのためには、いったいどうすれば?

「まずはゆっくり深呼吸して、町を行き交う人や車の流れを観察してみることですね。ちなみに、私の場合、現地のホテルに着いたら、まず部屋をじっくり観察するんです。それからホテルの館内を見て回り、次は向かいの道路…といった具合に、少しずつ範囲を広げて歩いてみる。そうすると、現地の環境が自分の身の丈で把握できるし、自然に町のリズムがつかめてくる。よくホテルに着くなり一目散に町へ繰り出す旅行者を目にしますが、あれは危なっかしくてしょうがないですね。子供が冷たい水にいきなり飛び込むようなものですよ」

海外旅行にも準備運動が必要ということかぁ。
ちなみに、世界各国の危険地域を渡り歩いてきたテレンス・リーさんですが「ココだけは行っちゃダメ!」という国はありますか?

「そうですね。アフガニスタンなどの紛争地はいうまでもありませんが、歴史的に長らく内戦をやっていた国も非常に危険です。たとえばアフリカや中南米の国々には、内戦時代の銃などが出回っている地域が少なくない。そういう場所での強盗というのは、ほぼ100%拳銃強盗。ナイフ強盗とは危険の度合いがケタ違いですよ。そういえば、私の知り合いの編集者は、アフリカ某国で、空港の到着ゲートからタクシーに乗るまでの間に丸裸にされたことがありますよ」

ぶ、物騒ですね…。あと、その他の国々でも、場所によっては危ない地域もありますよね。たとえばひとつの町で、安全なエリアと危険なエリアを見極める方法はあるのでしょうか?
アメリカ・ニューヨーク、マンハッタンの夜景。夜景を高いところから見渡した時に、ぽっかり一部だけ暗いエリアは危険な場合が多いという。
「危険地域というのは、地理的に標高の高い場所と低い場所に集中する傾向があるんです。ですから、各国共通で山の中腹や丘の上、海岸の近くやダウンタウンと呼ばれる場所では注意が必要です。また、ホテルの高層階などから夜景を一望した時に、都会の真ん中にぽっかりと不自然に暗いエリアがあれば、その一帯も要注意。スラム化が進んでいる場合がありますよ」

ス、スラムですか…。テレンス・リーさん。あなたの話を聞いていると、海外に行くのがなんだか怖くなってきました…。

でも、でも!! やっぱりそんなギリギリの環境だからこそ、オトコが磨けるってことなんですよね!!

「もちろん、それは否定しません。やはり地続きで自分の国に帰れないっていうのは、怖いものですよ。そういう意味で、日本の若者が世界を旅するというのは、ヨーロッパの連中のそれよりもずっと度胸がいるし、経験として得るものも多いでしょう。ただ、犯罪に対する覚悟もなく、行き当たりばったりで旅をするのは…、非常に危険です!!」

押忍っ! 来月までには覚悟を決めて、準備も整えて、カンボジアでオトコを磨いてきます! ・もしも旅先でケンカになったら、英語は使わず日本語でまくし立てろ!
・ニコニコ近づいてくるヤツらは、とりあえず警戒してかかれ!
・現地のリズムや文化を手っ取り早く把握するなら、まずは食文化から!
・下痢ぐらい経験しろ! 下痢の後には免疫ができる!
・万が一身ぐるみを剥がされたら、とりあえず大使館へ行け!
・旅におしゃれは不要。パジャマで行くくらいでちょうどいい!
・荷物は、むしろ盗んでいただくくらいの気持ちで預けろ!
・もしも旅先で戦争が始まったら、日本の商社かフランス大使館へ行け!

などなど。本文に書ききれないほどのアドバイスをいただいた今回の取材。

世界各国の危険地帯を渡り歩いてきたテレンス・リーさんだけに
泥棒の撃退法やケンカ必勝法などを伝授されるかなぁと思っていたのですが、
実際には、もっと現実的な自衛術をたくさん語っていただきました。

やはり海外では、細心の注意を払うってことがなによりも大切なんですねぇ。

とりあえずボクもはじめての海外旅行に向けて
カンボジア旅行初日のホテルをエクスペディアで予約してみます!

旅の魅力を探る本連載では、今後も
海外旅行における実践的なノウハウも調査していく予定です!
みなさんも気になることがあれば、どしどし投稿よろしくお願いします!

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