働くオトコの法律講座

第1回 サービス残業はどこまで許される?

2009.12.08 TUE

働くオトコの法律講座


「訴えてやる!」「残業代よこせ!」と心の中で叫ぶことはできても、実際に声に出せない空気が職場にはありますよね(しかも昨年来の不況でその空気はどんどん濃くなって…)。でも、現場から声があがらなければ弁護士や労働基準監督署も動きませんし、会社も現状を放置するでしょう。サービス残業容認の空気をいっぺんに吹き飛ばすのはムリでも、たとえば仲のよい同僚のあいだから、少しずつ薄めていくことはできるかもしれません イラスト/清野とおる

頑張ったのに残業代が出ない…これって違法じゃないの?



「深夜や休日も働いてるのに残業代も出ないんじゃ…」

ふつうに会社勤めをしていてこの手のぼやきに無縁な人は少ないでしょう。最近じゃ「サービス残業」なんて言葉が定着しちゃってますけど、どこまでサービスとして我慢しなくちゃいけないのか?

労働基準法32条によれば、会社は休憩時間を除いて「1日8時間、週40時間」(法定労働時間)を超えて従業員を働かせちゃいけないことになっています。法律事務所オーセンスの代表弁護士・元榮太一郎さんいわく「この法定労働時間を超えて働く場合は、必ず残業代を支払う義務が使用者に生じます」。

つまりそもそも「残業はダメよ!」というのが法律の考え方で、「サービス残業」というものは“法的には存在しない”ようなんです。加えて、管理職だからとか、年俸制だからといった理由で残業代が一切支払われない、なんてこともありません。

「部長」や「課長」みたいなそれっぽい肩書きを与えて残業代をカットする「名ばかり管理職」問題が近年クローズアップされましたが、一般の人がイメージする「管理職」と、労基法上残業代を支払わなくてもOKな「管理監督者」は別モノです。管理監督者の条件とは主に

・出退勤の自由がある
・経営者と一体となって企業判断を行っている(と評価できる)
・一般社員と比べてべらぼうに待遇がよい

といったところ。会社の規模にもよりますが、ほとんど役員クラスといって差し支えないでしょう。
今回取材にご協力いただいた元榮太一郎弁護士は、「法律を意識することは、生活防衛や資産防衛の面でも、自分の身を守ることになる」と語る。この連載では引き続き、ビジネスマンにとって身近な“法律の疑問”を取り上げていきます!
また、たとえ給与体系が年俸制だったとしても、その年額にあらかじめ含まれた残業代を超えて働けば当然その分は請求できます。サービス残業が横行する一因として、こうした前提についての従業員側の“誤解”もあるわけなんですね。

もしあなたの会社が残業代を支払っていなければ、未払い残業代の請求はいたって正当な権利行使である、と思ってください。ただし2年間請求を行わない残業代は時効で消えてしまう(労基法115条)のでご注意を。

とはいえ、請求する際に最大のネックになるのが「社内での立場が危うくなりそう」という極めて常識的な発想です。実際、法律事務所オーセンスに相談にこられる方のなかにも在職中に請求権を行使するケースは、退職後に請求する案件数に比較して少ないそうです。でも、万が一訴訟覚悟で臨むならどんな手が打てるのか…次回はそのあたりをもうちょい詳しく突っ込もうと思います。

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