働くオトコの法律講座

第8回 異動や転勤は受け入れるしかないの?

2010.02.02 TUE

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会社には配置転換・転勤を命ずる権利がありますが、雇用契約上職種が限定されている人がまったく畑違いの部署に回されたりしたら、それは「権利の濫用」にあたり、無効になる可能性もあります イラスト/清野とおる

原則として、従業員は会社の異動命令に従う義務を負います



春は人事異動の季節。というにはいささか早すぎるかもしれませんが、希望の部署に行けるだろうか、地方へ飛ばされやしないだろうか、ヤキモキする方もこれから増えてくるんじゃないかと思われます。こうした配置転換(勤務地はそのままで職種が変わる)や転勤(勤務地が変わる)は、特定の従業員がひとつの職場に長居することで生じる業務のマンネリ化を防いだり、人材の育成を促したりする目的があります。しかしその一方で、従業員の生活に重大な影響を及ぼしもします。それでも受け入れるしかないんでしょうか?

法律事務所オーセンスの元榮太一郎弁護士いわく「原則として、会社には配置転換や転勤を従業員に命じる権利(人事権)があり、従業員は会社の命令に従う義務があります。もし従業員が正当な理由もなくこれを拒めば業務命令違反になるので、就業規則に定められた懲戒手続きにのっとり処分される可能性もあります」とのこと。やはり配置転換や転勤はサラリーマンの宿命といえそうですが、いくら業務命令だからといっても、労働契約や就業規則に違反したり、業務上の必要性・合理性がなかったりするものは拒否できるそうです。つまり、

・入社時に職種や勤務地を特定した雇用契約を結んでいた
・業務上の必要性がない嫌がらせ(リストラ、退職勧奨)にあたる
・業務上の必要性があっても労働者の被る不利益がはなはだしい

などと客観的に判断できれば、「権利の濫用(労働契約法第3条第5項)」とみなされ無効になるんですね。 また、仮に労働契約書などに職種が明記されていなくとも、たとえば募集要項にて英語力や秘書のスキルなどが要求されており、実際に秘書として採用されたにもかかわらず、その後、それらのスキルがまったく必要とされない警備業務へ配置転換されたなど、想定される職種と明らかに異なる人事もダメ。もうひとつ、違法な理由による業務命令も当然ダメ。具体的には、

・性別を理由としたもの(男女雇用機会均等法6条)
・国籍、信条、社会的身分を理由としたもの(労働基準法3条)
・労働組合員であることを理由としたもの(労働組合法7条)
・育児や介護の状況への配慮を欠くもの(育児・介護休業法26条)

などです。現実的には、ほとんどの会社は就業規則に配置転換・転勤の規定があり、雇われ人である以上、基本的には異動命令に逆らえませんが、上記に該当するようなケースであれば労働基準監督署などに相談してみましょう。 法律についての疑問や、法律が関わるような悩みがありましたら、右下の投稿ボタンから投稿ください。

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