よくわかる統計マジック

第2回 有効求人倍率は、実際はもっと低いかも?

2010.03.16 TUE

よくわかる統計マジック


上のグラフは「主な求職方法」の単一回答の結果で、複数回答だと「求人広告・求人情報誌」が59.5%と最も高く、次いで「公共職業安定所に申込み」が58.3%となっています。いずれにせよ、有効求人倍率の「分母」である求職者は、実際はもっと多いと考えられます 図版デザイン/坂井大輔

ハローワークに登録していない人は「求職者」に含まれない



前回お話しした完全失業率とともに、景気動向や雇用情勢を読む際の指針となる統計が「有効求人倍率」です。両者は毎月同日に発表されますが、前者は総務省が、後者は厚生労働省が集計したデータです。混同されがちなのでご注意を。

さて、厚労省の「職業安定業務統計」によれば、2010年1月の有効求人倍率(季節調整値)は0.46倍で、前月より0.03ポイント上昇し、4カ月ぶりに回復しました。とはいえ、去年の同じ月は0.65倍でしたから、依然として深刻な状況が続いています。しかも、雇用不安をあおるわけじゃありませんが、この有効求人倍率も、完全失業率と同様に、実態よりは甘めの数値であることを想定する必要があります。

有効求人倍率とは、全国の公共職業安定所(ハローワーク)に登録された有効求人数を、有効求職者数で割ったもので、「求職者に対する求人数の割合」を表します。今月発表された数字を例にとれば、求職者ひとりに対して求人件数が0.46件しかない、別の言い方をすれば求職者10人のうち4~5人しか仕事にありつけないという状態を意味します。ただ、気をつけなければならないのは、有効求人倍率を算出する際の「分母」となる求職者には、“ハローワークを利用していない失業者は含まれない”ということです。 一昔前であれば、新卒以外の人が仕事を探すときはハローワークのお世話になるケースがほとんどでした。しかし近年は民間による職業紹介や求人広告、求職支援サイトなど職探しの手段は多様化しており、特に都市部の若者層はハローワークを通さずに職を探す傾向にあるようです。つまり、“分母としてカウントされない”失業者が増えているわけです。

一方の「分子」である求人数はどうかというと、ハローワークでは、1998年から「求人開拓推進員」が積極的に新規求人の掘り起こしを行っています。こういった活動によってハローワークに登録される求人が増えると、有効求人倍率が押し上げられる可能性があるんですね。また、ムリな求人開拓を進めた結果、「釣り求人」や「架空求人」が増えただけだった、なんてことになっても困ります。

…と、前回に引き続きネガティブなことばかり書きましたが、「失業率も求人倍率もウソっぱちだ!」みたいに捉えるのではなく、その統計のカラクリを正しく認識することが重要です。 この連載で取り上げてほしいテーマや、気になる統計データがあれば、右下の投稿ボタンから投稿ください!

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