よくわかる統計マジック

第3回 日本人の平均貯蓄が1250万円ってマジ!?

2010.03.23 TUE

よくわかる統計マジック


勤労者世帯の平均貯蓄額は1250万円。なんて聞くとビビりますよね。でも、データの分布を視覚化できれば、中央値は757万円、最頻値なら200万円未満と、ひとまず納得できるんじゃないでしょうか? 図版デザイン/坂井大輔

データ分布を視覚化してみると、実感に近づきます



日本人は「平均」に弱い。と、思うのですが、みなさんいかがでしょう? 平均年収や平均身長・体重、学生時代だったらテストの平均点など、なにかの平均値より上か下かで一喜一憂したり、あるいは平均値に近いことが美徳であるかのように捉えたり。でも、一口に「平均」といってもいろいろな種類があって、ぼくらの実感とかけ離れた「平均」もしばしば目にします。

たとえば、総務省の「家計調査」。それによれば、2008年の勤労者世帯の平均貯蓄額は、1250万円です。「えっ、マジで!?」ってなりますよね。なぜ違和感を覚えるのかといえば、この数字が、多くの人が「平均」と聞いてまず思い浮かべるであろう算術平均=個々の貯蓄額の総和を頭数で割った平均値だからです。算術平均がぼくらの実感と重なるのは、データの分布が左右対称な山型(平均額付近に多くの世帯が集中し、分布図の中央が盛り上がっている感じ)になっているときです。

しかし、貯蓄額のデータを金額の少ない順に並べていくと、図のように、多く貯め込んでいる世帯ほど全体に占める割合が低くなっていることがわかります。「4000万円以上」には億単位で貯蓄のある世帯も少なからず含まれるでしょう。要するに、少数の大金持ちが全体の平均値を押し上げているため、ぼくら庶民の実感よりずいぶん高めの平均値になるんですね。このようないびつなデータ分布の場合は、いわゆる平均値ではなく、「中央値」や「最頻値」で見るべきでしょう。 中央値とは文字どおり真ん中の値で、100世帯あったら50番めと51番めの世帯の平均です。これだと、08年の勤労者世帯貯蓄額の中央値は757万円となり、平均値の1250万円よりだいぶ低くなります。そして、最頻値とは最も多い頻度で出てくる値のことです。グラフを見ると、全体の19.6%を占める「200万円未満」が最頻値であることがわかります。お、かなり実感に近づいたんじゃないでしょうか? 「未満」だから(ぼくのような)貯蓄額0円の人も含まれますしね。

このように、単純な「平均」だけを真に受けると面食らってしまいますが、データ分布を視覚化してみると、偏りのない情報が浮かび上がってきます。逆にいえば、「平均」で実態をごまかすことも可能です。たとえばある会社が社員募集で「我が社の社員の平均年収は1000万円」なんてうたっても、実は一部の重役がべらぼうに貰っているだけで、最頻値は200万円そこそこだった、みたいに…。 この連載で取り上げてほしいテーマや、気になる統計データがあれば、右下の投稿ボタンから投稿ください!

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