よくわかる統計マジック

第4回 食料自給率は測り方で変わる!?

2010.03.30 TUE

よくわかる統計マジック


生産額ベースでなら、「我が国の食料自給率は70%あり、主要先進国と比べてもそんなに悪い数字ではない」と発表することもできますね。ちなみに、生産額ベースの自給率が100%を超えるのは、単純に食料の輸入額を輸出額が上回っているからです 図版デザイン/坂井大輔

なぜか無視される「生産額ベース自給率65%」という数字



「日本の食料自給率はたったの40%!」…こんな報道を耳にしたことはないですか? 農業や食糧問題を論ずる際、必ずといっていいほどこの「自給率」が引き合いに出されます。でも、自炊してる人はわかると思いますが、スーパーの棚に並んでいる農産物はだいたい国産なんですよね。農家で大量廃棄される野菜がニュースになったりしますし、コメにいたっては長年減反政策がとられています。どうも一般的な生活実感とズレているように見える自給率ですが、いったいどういう数字なんでしょう?

農林水産省によれば、食料自給率とは「国内の食料消費が、国内の農業生産でどの程度賄えているかを示す指標」で、個別の品目によらない総合的な自給率を表すものとして「カロリーベース総合食料自給率」と「生産額ベース総合食料自給率」があります。で、広く世間に流布しているのは「カロリーベース」の方。計算式にすると、

1人1日あたりの国産供給カロリー ÷ 1人1日あたりの供給カロリー

となり、最新値である2008年の数字を見ると、分子が1012kcal、分母が2473kcalで、自給率は41%です。一方の生産額ベースは、

食料の国内生産額 ÷ 食料の国内消費仕向額(国内で消費される食料の生産額) で、同じく08年の数字なのに分子10.0兆円、分母15.3兆円で自給率65%と、ずいぶん高くなります。しかし、こちらの数字が表立って報道されることはほとんどありません。もともと食料自給率は、1965年から生産額ベースだけで発表されていたのに、83年にカロリーベースがひょっこり現れて以降、生産額ベースの自給率はすっかり影が薄くなってしまいました。結果、「40%」という数字だけが刷り込まれ、国民のあいだには漠然とした自給率への不安が募り、農水省には巨額の「自給率向上対策費」が割り当てられるようになりました。

そもそも、我が国では「自給率」が幅を利かせていますが、実は自給率を計算しているのは日本と韓国だけで、諸外国ではまったく問題視されていません。よく日本と比較される主要先進国のカロリーベース自給率も、農水省がFAO(国際連合食糧農業機関)の統計から“独自に”はじき出したものです。さらにいえば、日本の数値が高めに出ている生産額ベースでの各国比較は、不自然なほど話題になりません。まるで「日本は先進国中最低の自給率!」といいたいがためのデータのような、作為的なものを感じてしまうんですよね…。 この連載で取り上げてほしいテーマや、気になる統計データがあれば、右下の投稿ボタンから投稿ください!

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