世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

サラリーマンの時給は年々下落している!?

2010.05.20 THU

経済学ドリル


【問1】09年のサラリーマンの時給はいくら?

A 1864円(00年対比4.7%増) 
B 1725円(00年対比3.1%減) 
C 1687円(00年対比5.3%減)
(注)30~34歳の男性の平均値

【解説】サラリーマンが受け取る給料の金額は、年収や月収で表現されることが多いですが、これだと、自分の能力に見合った収入であるかどうかがわかりません。月給が多くても、その分長い時間働いていたのでは、能力に見合った収入とはいえないからです。そこで、民間企業で働くサラリーマンの労働の価値を時給に換算して表現してみましょう。30~34歳の男性の平均時給をみると、09年は約1687円にとどまりました。これは、00年代以降ではもっとも低い水準です。時給が下落傾向にあるのは、景気低迷の影響を受けて企業がコスト負担の大きい人件費を抑制する姿勢を強めているからです。
職業別に時給を比較してみると、09年のトップは航空機のパイロットで、時給は約4064円でした。同年代のサラリーマンの平均時給と比較すると2.4倍にも達します。そのほか、弁護士や公認会計士などの時給が高くなっており、高度な専門技能を必要とする職業の場合には、景気の良し悪しにかかわらず高水準の時給が維持されるといえそうです。

【問2】09年の時給が2番目に高かった職業は?

A 証券アナリスト B 司法書士 C 医者

[正解] 問1:C 問2:C


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に『「夜のオンナ」の経済白書』(角川書店)、『世界を席捲するインドのDNA』(角川SSC新書)など多数

時給減でも転職しようとする人が増えないワケ



自分が働く企業の時給が下がっている場合、自分の能力に自信のあるサラリーマンであれば、もっと高い時給がもらえる企業への転職を考えるようになるでしょう。
しかし、現実には大多数のサラリーマンは転職を希望していません。たとえば、(すでに平均時給が下落し始めていた)07年の総務省『就業構造基本調査』によると、正社員で転職を希望する人は全体の11.2%にすぎませんでした。
給料が安くて、いまの会社に不満があっても、サラリーマンがなかなか転職に踏み切れないのはなぜでしょうか。サラリーマンが転職する場合、転職によってキャリア・アップする可能性もあれば、逆にキャリア・ダウンしてしまうリスクもあります。どちらになるかは事前にはわからないのですが、多くの人は、キャリア・アップによる「利益」よりもキャリア・ダウンによる「不利益」の方を頭の中で強く意識する傾向があるのです。その結果、損失を回避しようという気持ちが働いて転職をしない、つまり給与面での不満はあっても現在の会社で働き続けるという選択肢を採用してしまうのです。
最新の行動経済学の研究成果によると、このような人間の心理や行動は「現状維持バイアス(Status quo bias)」で説明することができます。
「現状維持バイアス」とは、その名前の通り、人間は現在自分自身が置かれた状況や習慣が変わることを極端に嫌う傾向があるというものです。
では、なぜ人生の様々な局面で「現状維持バイアス」が生じるのでしょか。
それは現在の状況が変わることによって将来起こりうる「利益」と「不利益」を比較するとき、たとえその生起確率(実際に起こる可能性)が50%ずつであったとしても、多くの人は主観的に「利益」よりも「不利益」の方を過大に評価してしまうからです。

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