イギリスでは異例の連立政権誕生

日本の“お手本”が崩壊危機 2大政党制はもうダメなのか?

2010.06.03 THU



写真提供/EPA=時事
英国で36年ぶりに連立政権が誕生した。英国といえば、むかしから2つの政党による政権交代が基本で、「2大政党制」の本家本元。それだけに、2大政党のどちらも単独過半数がとれず、第3党と連立を組むというのは異例の事態なのだが、この英国の異変は日本にとっても人ごとではない。90年代以降、英国の政治制度はまさに日本のお手本で、「マニフェスト(政権公約)」や「党首討論」など、さまざまな面でモデルとしてきたからだ。

たとえば、その代表といえるのが「小選挙区制」。96年に比例代表制と並立で導入された小選挙区制は、第1党が過半数の議席を得やすく、中選挙区制などに比べて政権交代が容易という特徴がある。つまり、小選挙区制=2大政党化。英国ではこの選挙制度が長年にわたり2大政党制を支え、日本はそれをお手本に政権交代を可能にすべく小選挙区制を導入した経緯があった。ところが、ようやく本格的な政権交代が実現したのに、こんどは当の英国で2大政党制が崩壊の危機に瀕してしまったわけだ。

なぜそうなったのか。その理由についてはいろんな分析があるが、簡単にいえば、英国民の2大政党に対する不満であり、政治不信。「AかBか、国民が選挙によって政権をはっきり選択できる」のが2大政党制のいいところだが、逆にいえば、それは選択肢が2つしかないということでもある。政治に対する不満を2大政党だけでは吸収しきれず、第3党が支持を集めたものの、結局どこも単独過半数がとれない―。そのあたりも、民主党と自民党という大政党がともに政治不信を招き、その結果、新党結成というかたちで第三極がブーム化している日本の政治とも重なったりする部分なのだ。

そう考えると、問題は2大政党制や小選挙区制といったものではないのかもしれない。問われているのは政治のシステムではなく、政治そのもの。転機を迎えた英国が政治不信にどう向き合うのか。日本の政治がお手本としてきた国にはまだまだ学ぶべきものがたくさんありそうなのである。
(押尾銅山)


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト