世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

国の借金を35年ローンで返済するには消費税率17%!?

2010.06.17 THU

経済学ドリル


【問1】09年末のギリシャ政府の借金残高は、
国民1人あたりいくらになる?
(注)1ユーロ=112円で換算、ギリシャ国民の平均所得(1人あたりGDP)は約238万円(09年)

A 約100万円 B 約300万円 C 約500万円

【解説】ギリシャショックで世界の金融マーケットが動揺しています。ギリシャショックというのは、ギリシャの財政赤字問題をきっかけに広がった世界的な信用不安のことです。ギリシャの09年の財政赤字はGDP(国内総生産)に対する比率で13.6%に上りました。国民1人あたりでは32.4万円です。しかも、ギリシャ政府が財政赤字の数字を粉飾していたことが明らかになり、それによってギリシャは国際的な信用を失うことにもなったのです。信用を失ったため、欧州のどの金融機関もギリシャ政府が発行する国債を購入しなくなり、ギリシャは資金調達をすることが難しくなってしまいました。ギリシャは長年財政赤字が続いていたので、国が抱える借金も巨額になっています。09年末の借金は約33.3兆円で、国民1人あたりに換算すると約300万円になります。ギリシャでは平均所得が238万円の国民が約300万円の借金を抱えて、新規に32.4万円の借り入れをしている計算になります。

【問2】09年末の日本政府の借金残高は、
国民1人あたりいくらになる?
(注)日本国民の平均所得(1人あたりGDP)は約372万円(09年)

A 約310万円 B 約510万円 C 約810万円

[正解] 問1:B 問2:C


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に『世界を席巻するインドのDNA』(角川SSC新書)、『人妻の経済学』(プレジデント社)など多数

消費税率10%でも84年ローン!?



日本も財政状態が急激に悪化しており、09年の財政赤字額はGDP比でマイナス10.3%に上ったとみられます。国民1人あたりでは38.3万円です。債務残高も巨額で、国民1人あたりで約810万円となっています(09年末)。国が置かれた状況を個人に置き換えてみると、年収約372万円の人がすでに810万円の借金を抱えていて、新たに年間38.3万円の借金をしているのと同じです。
ただし、日本国民は資産をもっています。国が発行する国債のほとんどを直接・間接的に日本国民が保有しており、日本政府の借金は、日本国民の資産という構図になっているのです。ギリシャのように海外から借金をしているわけではないので、国の借金が増えても短期的に日本政府が資金繰りに窮することにはなりません。
しかしながら、今後さらに政府の借金が増えていくのは問題です。日本は高齢化が進み、貯蓄率が下がってきているので(高齢者の多くは貯蓄を取り崩して生活しています)、国債購入の原資となる国民の資産が減ってくると予想されるからです。中長期的な視点から財政再建を進めて、国の借金を減らすことは重要な課題です。
財政再建を進めるにあたっては、税収を増やすことが必要ですが、それには消費税率の引き上げが最も効果的といわれます。所得税や法人税だと景気の波の影響を受けやすいのですが、消費税は比較的安定した税収源だからです。IMF(国際通貨基金)は日本が現在5%の消費税率を10%に引き上げれば、毎年12.3兆円ほど税収が増えると試算して、日本に消費税率を引き上げることを提言しています。仮に、消費税率5%引き上げによる税収増加分を全て借金返済にあてたとしても、他に返済原資がなければ、全額を返済し終わるまでに84年間かかります。もし、35年ローンで返済するなら、消費税率は17%まで引き上げなければなりません(笑)。

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