米国、韓国、ブラジルでは導入済み

日本の国政選挙はどうして「電子選挙」を導入しないの?

2010.07.01 THU



写真提供/時事通信社
参議院選挙の投開票日まであと10日。当日はテレビ各局が選挙特番を組み、開票速報を競うはずだが、いつも思うのが「なぜ国政選挙は電子投票を導入しないのか」ということ。電子投票には、開票時間の大幅な短縮や人件費の削減、疑問票や無効票が出ない、自分で書くのがむずかしい障害者も代筆なしで投票できる…といったメリットがある。ようはもっと効率的で便利になるわけで、すでに米国の一部の州やインド、韓国、ブラジル、ベネズエラ、フィリピンなどの国では導入されている。日本でも、2002年に施行された電子投票法によって地方選挙では過去に16回実施されているが、なぜか国政選挙はいまだに電子投票が導入されないのだ。

その理由はズバリ、信頼性の問題。じつは、電子投票でおこなわれた地方選挙はトラブルが相次ぎ、導入した10の自治体のうち、すでに4つの自治体が電子投票から撤退している。たとえば、03年の岐阜県可児市議選ではシステムが一時停止し、誤操作で投票総数が投票者数を上回るなど大混乱。非電子投票の再選挙に追い込まれ、同年の神奈川県海老名市長・市議選でも同じトラブルが発生した。また、米国をみても、04年の大統領選で有権者の8割以上が民主党員の地域で共和党のブッシュ大統領(当時)が勝ったり、投票者数が638人なのにブッシュさんが4258票を獲得したりする異常な事態に。電子投票の信頼性が大きな問題になった。そのため、07年、日本でも国政選挙に電子投票を導入する法案が臨時国会に提出されたものの、審議は紛糾し、結局成立は見送られた経緯があったのである。

もっとも、その効率性や利便性を考えると、電子投票の実施は時代の流れ。いずれ導入されるはずだが、メリットよりもデメリットが大きい現時点で急いで導入する必要はないというわけだ。電子投票は特殊な機器を使うため、一部の業者に利権が生じるといった心配もある。民主主義の根幹は「選挙の信頼性」。選挙では公正・公平の確保がいちばん大切なことなのだ。
(押尾銅山)


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