批判続々で民法改正論議がスタート

日本のは世界一リスクが高い? 「連帯保証人」制度のギモン

2010.08.05 THU


政府が「連帯保証人」について見直しを含めた民法改正の検討をしている。連帯保証人制度とは、たとえば金融機関でお金を借りて本人が返せないとき、その人に代わって全額返済する義務を負う仕組みのこと。ただの「保証人」であれば、債務者の返済能力を証明すれば肩代わりの必要はなくなるが、連帯保証人にはその権利もない。いわば、自分が借金を背負うのとまったく同じで、法律学者のあいだでは以前から制度を疑問視する声もあったのだ。しかも生活破たんや自殺の要因になっているといわれ、実際、日弁連によると破産者の10人にひとりは債務を肩代わりしたことがおもな破産の原因だという。

とはいえ、この連帯保証人、日本だけの制度というわけではなく、じつは欧米にも同様の制度はあるのだ。違うのはその中身。

たとえば米国の場合、「全額保証は嫌だから◯%だけ責任を負うことにできないか」というように債権者に対して交渉することが可能で、フランスでは保証人が内容を知らずにサインしたときは契約じたいが無効になる。ドイツでは94年に裁判で「保証人の支払い能力を超える保証契約は公序良俗に反す」との判決が出て、99年以降は連帯保証人の免責制度が始まった。同じ制度にみえても、保証人になってしまったがために突然、有無をいわさず金融機関から一括弁済を迫られる、という日本とは本質的に大きく違うのである。なにより、日本では金融機関からの借り入れや部屋の賃貸契約の大半に連帯保証人が必要だが、欧米ではそこまでの乱用はされていないという。

そのため、今回の改正論議では、保証契約を結ぶさいに連帯保証人に対して契約内容をじゅうぶん説明する「説明義務」や、債務者の資金繰り情報を保証人に知らせることを金融機関に義務づけたりするのもポイントになるといわれる。もともと連帯保証人というのは、経済的メリットがないのに債務負担のリスクだけを負わされるシステム。制度のあり方そのものを含めて、きちんと議論してほしいと思うのだ。
(押尾銅山)


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