大相撲の野球賭博で大問題

競馬、競輪、totoはいいのにどうして「賭博」はいけないの?

2010.08.05 THU



写真提供/ANP/PANA
大相撲の力士による野球賭博への関与が大問題になった。しかし、この「賭博=ギャンブル」という行為、考えてみると、自分のお金を賭けているのにどうしてそれが罪になるのか。野球賭博が問題となる一方で、サッカーくじや競馬に競輪、宝くじなど、特別法によって国に例外的に認められた「公営ギャンブル」だって立派な賭博であるにもかかわらず…。

なぜ賭博は「悪いこと」とされているのか。賭博史に詳しい大阪商大・谷岡一郎学長はその著書『ギャンブルフィーヴァー』で、賭博が禁止されている理由を最初に明確に示したのは74年の大阪地裁の判決だと書いている。それによれば、賭博は家庭の崩壊をもたらし、社会風俗を乱し、勤労意欲を低下させてしまう。そのため、禁止するのは正当であるというのが法的な解釈だという。国民が賭博にハマりすぎると国そのものが停滞する恐れがあるという考え方で、公営ギャンブルは国が管理しているから大丈夫というわけらしい。また公営の賭博は形を変えた税金として機能してきた面もある。

だが、まったく違う考え方をする国もある。60年に賭博を合法化した英国は、賭博を多角的に調査・検証し、禁止すべきではない理由として当時の報告書にこう記しているのだ。賭博は「適正な範囲で行われているかぎり、人の生活や家庭、及び社会に対して大きな害毒を流すものとは考えられない」「国家は社会的問題とならないかぎり、一般市民の楽しみを阻害すべきではない」。

じつは賭博には、時代が変わるたびに禁止されたり黙認されたり…を繰り返してきた歴史がある。日本初の賭博禁止令を出したのは689年の持統天皇で、対象はすごろく。以来、たとえば戦国時代には武士たちが陣中でさえ賭博に熱中し、徳川家康が天下統一すると、こんどは一転して賭博常習者を厳罰に処した。いつの時代も必ず「国を滅ぼす」と禁止の声が上がり、それでも必要とする人もいて、また禁止される。賭博はなぜいけないのか。その本質的な答えは簡単には出せそうにないのだ。
(村木哲郎)


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