社会性とやらを生物に学べるか?

第10回 巨大アパートの住人、シャカイハタオリ

2010.11.02 TUE

社会性とやらを生物に学べるか?


シャカイハタオリの巨大な巣。そのあまりの重さに木が耐えきれなくなることもある。また、彼らは外敵が登りにくい電柱に巣を作ることも

一つの巣に100世帯がすむ鳥の集合住宅



ボクら人間の住居には一軒家と集合住宅があります。では、動物はどうでしょう。たとえば、鳥の巣というと世帯ごとに作られた一軒家タイプを思い浮かべるのではないでしょうか。実は、鳥のなかには集合住宅タイプの巣を作る種類もいます。その代表格が、アフリカ南部の乾燥地帯に生息するシャカイハタオリ。彼らの共同生活について、日本動物科学研究所の今泉忠明先生にお話を伺いながら紹介しましょう。

内部にたくさんの部屋が設けられたシャカイハタオリの巣は、大きいものだと幅が6mを超え、100以上ある部屋で300~400匹が一緒に暮らしていることも。そんな巨大な巣に集団ですむことには、様々な利点があるようです。

「彼らがすむのは寒暖の差が激しい地域です。大きな巣はその暑さや寒さを防ぐ断熱性に優れているんです。ある調査では、気温が氷点下になる冬の夜は、夏よりも一部屋ごとのシャカイハタオリの数が多かったそうです。4~5羽が集まって部屋をさらに暖かくすることで適温を保つため、外にひらけた巣をねぐらにするよりエネルギーの消費を約40%節約できます。また、集団ですむことの利点には、みんなでいるという安心感もあるといわれます」(今泉先生)

巣が設けられるのは外敵が登りにくい幹が滑らかな木の上で、各部屋へつながる細い通路の入り口も侵入されにくいように巣の真下に設けられています。しかし、今泉先生によると、それでもケープコブラなどに襲われることがあるそうです。 「ケープコブラは巣のすべての卵やヒナを数日で食い尽くします。そのため、シャカイハタオリはケープコブラが活動しない寒い時期に繁殖することで、集団を維持しているといわれます。たまに降る雨で植物が花を咲かせ、実をつければ、外が寒くても巣の中は暖かいので繁殖できるんです。また、そばに仲間が大勢いるので繁殖しやすいという利点もあります」(同)

集団なので出会いには困らないわけですね。また、彼らは何世代にもわたって修復しながら同じ巣を使っていて、なかには100年以上使われる巣もあるようです。

「巣が大きいので、ヒナが育って親元を離れたあとも同じ巣の空いた部屋に引っ越すことができます。すみ続ければ、新たな巣を作る手間も省けますし、長い間同じ巣が使われているということは、それだけ巣のある場所が安全だということでもあります。巣の大きさが支えている木の限界に達したら、近くに新しい巣を作り始めます」(同)

そんな彼らの巣は、ほかの種類の鳥が繁殖などのために間借りすることもあるのだとか。シャカイハタオリは、すみ心地のよい物件の建築家兼住人であるとともに、大家さんでもあるんですね。 取り上げて欲しい動物、ご意見などありましたら投稿ボタンよりおねがいします。

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