世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

高齢者医療制度改革でR25世代の負担はどうなる?

2010.11.18 THU

経済学ドリル


【問1】R25世代の医療費は1人あたり年間いくら?(07年度)

A 約5万8700円 B 約10万8700円 C 約15万8700円

【解説】日本では、高齢化の進展にともなって国民の医療費が年々膨らんできています。厚生労働省の発表によると、09年度の医療費は過去最高の35兆3000億円に達しました。08年度と比べると1兆2000億円(+3.5%)の増加となっています。
一方、医療費の原資となる健康保険料の収入は伸び悩んでいます。これは、景気の低迷を受けて企業で働く人たちの賃金や個人事業主の収入が落ち込んでいるためと考えられます。医療保険の世界は、政府の財政事情と同様、支出は増えるが収入は減るという状況にあるので、帳尻を合わせるために健康保険料の引き上げが重要な課題となっています。これまでは全国平均の健康保険料率は8.2%だったのですが、2010年4月以降は9.34%に引き上げられました。今後も高齢化が速いスピードで進んでいくと予想されることから、医療支出の増大によって、私たちの健康保険料がさらに引き上げられる可能性もあるのです。

【問2】R25世代が負担している健康保険料は1人あたり年間いくら?

A 約20万1800円 B 約15万1800円 C 約10万1800円

(注)厚生労働省、全国健康保険協会の資料をもとに計算。R25世代の健康保険料は、税引き前の平均年収に全国の平均保険料率(9.34%)を乗じて、企業と本人がそれを折半するものとして算出。ここでのR25世代は30~34歳。ただし、保険料率は住んでいる都道府県によって異なる。

[正解] 問1:B 問2:A


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に『人妻の経済学』(プレジデント社)、『中国経済の正体』(講談社現代新書)など多数

新しい医療制度でもR25世代は高負担のまま!?



現在の医療保険制度は、R25世代を含めて現役世代が重い負担を強いられる仕組みになっています。が、たくさん医療費がかかるのは主に高齢者です。厚生労働省の資料によると、09年度の年間医療費35兆3000億円のうち44%は70歳以上の医療費で占められていました。一方、たとえばR25世代(30~34歳)の1人あたり年間医療費は、70歳以上の1人あたり年間医療費の2割弱しかかかっていません。R25世代の場合、医療保険料の負担が、病院で診療を受けるという“受益”を大きく上回るかたちになっているのです。
世代間の不公平をなくすべく、自民党政権は08年4月に後期高齢者医療制度をスタートさせました。後期高齢者医療制度は、医療費のかかる75歳以上のお年寄りを後期高齢者と呼んで、通常の健康保険とは切り離し、独立した新しい保険の仕組みに加入させるものです。ただ、この仕組みだと、75歳以上で元気なお年寄りに過大な保険料負担を求めることになってしまい、当時の野党などからは「姥捨て山」との批判も浴びました。
そこで、2010年10月、民主党政権は後期高齢者医療制度を廃止して、2013年度から新しい高齢者医療制度へ変更することを提案しました。試算結果をみると、75歳以上の方の保険料負担は年間2万2000円程度アップします。また70~74歳の医療費の自己負担は2013年度から5年かけて現状の1割から2割まで引き上げられます。さらに現役世代の保険料負担についても大幅なアップが避けられない見通しです。新しい制度ではすべての国民が負担を分かち合うという仕組みのため、現役世代の不公平感は全く解消されていないのです。新制度では現役世代の負担が重くならないよう公費の投入割合を増やすことになっていますが、公費というのは税金ですから、結局、現役世代の負担が重くなるという構図は変わりません。

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト