作品への激励か、それとも批判か!?

最低映画賞を選んでいる人の思いに迫ってみた!

2011.01.13 THU


写真は、昨年のゴールデンラズベリー賞で「最低女優賞」を受賞したサンドラ・ブロック。受賞者が登壇するのは珍しいという。ゴールデンラズベリー賞は、一般の映画ファンの投票(会費25ドルを支払って会員になる必要がある)で年間の最低映画を決める。一方、HIHOはくさい映画賞は、雑誌『映画秘宝』誌上で発表されているもので、選考委員は柳下さんをはじめとする映画評論家3人(2010年度の発表は未定) 写真提供/AFLO
映画賞といえば優れた映画に贈られるのが普通だけど、ダメな映画を表彰する映画賞もある。アメリカだとゴールデンラズベリー賞、日本では文春きいちご賞(『週刊文春』主催)やHIHOはくさい映画賞(『映画秘宝』主催)などが有名だ。では、こういった最低映画はどんな基準で選ばれているのか? 邦画の年間ワースト作を決めるHIHOはくさい映画賞の選考にかかわった、映画評論家の柳下毅一郎さんに聞いてみた。

「ダメな映画は“失敗作”と“駄作”に分けられます。失敗作は、作り手の思いや情熱はあるけど、それに監督や役者の才能が追いついていない映画。当然、いい作品とはいえませんが、メッセージ性や情熱があふれすぎて逆に面白くなった作品もあります。ラズベリー賞は、こういった失敗作が選ばれる傾向があると思います」

なるほど、こういった“失敗作”に贈られる最低映画賞は、ある種の愛といえるかも。では“駄作”の方はどうでしょうか。

「駄作というのは、話題性だけで儲けようした作品。こういう作品は『人気アイドルを起用』『テレビとタイアップ』といった企画ありきで制作される傾向が強いため、作り手の思いも情熱も失われがちなんです。同時に、芸能事務所やテレビ局などが口出しすることが増え、しばしば監督はその調整役になってしまう。結果、作品の出来に責任を負う人がいなくなり、支離滅裂な映画が生まれやすくなるわけです。はくさい映画賞で選考しているのも、こういった『何を伝えたいのかわからない作品』『映画への情熱がない作品』が多いですね」

とはいえ、「もちろん、はくさい映画賞受賞作でも一般層が面白いと評価している作品はありますよ」(柳下さん)とのことだ。しかしぶっちゃけた話、そういった駄作を選ぶことにどんな意図が?

「個人的意見ですが、“仕分け”する気持ちで選考しています。駄作は、いわば無駄な公共事業。企業のプロジェクトがきっかけで生まれるので、制作側では『仕方ないから撮る』という雰囲気になりやすいんです。だから正直、駄作はなくなってほしいですね。ただ、受賞作にかかわった関係者は、最低作品に選ばれたことをほとんど気にしていないかもしれませんが…」

失敗作に“愛”を贈る賞と、駄作を厳しく批評する賞。評価する目線の違いで、最低映画賞の性格は大きく異なるようだ。同じ最低映画でも、せめて愛される失敗作なら許せちゃうかも!?
(糸数康文/Office Ti+)

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