あの話題の“その後”追跡隊!

第2回 「高額紙幣登場のウワサ」どこいった?

2011.01.18 TUE

あの話題の“その後”追跡隊!


左=慶長大判、右=万延大判。現在の高額紙幣に近い扱いだったといわれている江戸時代の大判。この時代では恩賞や贈答用に使われることが多かったそうですが、裏金として使われることもあったとか 画像提供/日本銀行金融研究所貨幣博物館

五万円札や十万円札…、高額紙幣発行の噂ってどうなったの!?



現在、日本に出回っている紙幣は千円札、二千円札、五千円札、一万円札の4種類。なんで、上限が一万円札なんだろう? 五万円札や十万円札など、高額紙幣が発行される噂も聞いたことがあるし…。噂の真相を確かめるべく、日本のお金を管理する財務省理財局を直撃しました。

「こちらでは、高額紙幣を発行するという話を聞いたことがありません。なので、お答えしようがないのが正直なところです」

あれ、事実無根の噂だった!? でも、火のないところに煙はたたないはず…。『貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム』(新潮社)の著者で、早稲田大学大学院の岩村 充教授、なんでこんな噂が出回ったのでしょうか?

「高額紙幣発行の噂は都市伝説レベルの話なので、実際に登場することはありえませんね。そもそも現在の日本経済において、高額紙幣発行のメリットは一切ないと断言できます。理由の1つが、電子マネーの普及による現金取引の減少。もう1つが、日本銀行が発行している紙幣(現金)の量です。1995年時点の約46兆円に対して、2010年時点では約80兆円にまで膨れあがっています。これは、国民1人あたりが所有している現金に換算すると、約60万円。4人家族の世帯であれば、約240万円の現金を家の中に保管していることになります。これは世界的に見ても、異常なほど多いんですよ」

ほほう。それと「高額紙幣」発行の話と、どんな関係があるのでしょうか?

「高額紙幣発行の噂の背景には、それによってデフレからインフレに引き上げようという発想があるんです。でも、バブル崩壊後の金融緩和でこれだけ大量の紙幣を発行しても回復の兆しが見えないのであれば、高額紙幣を発行してもデフレ克服には無意味ということになります」 さらに、十万円札や百万円札を発行すると、犯罪に使われるブラックマネーを助長することになるのだとか。

「世のなかに流通していないお金はどこにあるのか。お年寄りが銀行に預けず、自宅で保管しているタンス預金。そして脱税や密輸など、政府が把握していないブラックマネーが挙げられます。銀行の振り込みや電子マネー経由では、裏金のやりとりが記録として残ってしまう。十万円札×100枚=1000万円の現金を手軽にやりとりできるようになれば、喜ぶのはブラックマネーを扱う特殊な人たちだけ。一般人は、そんな現金を持ち歩きませんからね。それに、紙の銀行券には限界があります。このまま高度な印刷技術が普及していけば、偽造対策にも限界が…。長い目で考えれば、安全な電子マネーがメインになっていくと思いますよ」

よくよく考えれば、一生懸命働いた給料が十万円札×数枚だけだったら、お金のありがたみがありません! 現金のありがたみが感じられる現在の紙幣が、R25世代にはちょうどいいのかも!? あのニュースについて、知りたいこと、気になることがありましたら、右下の投稿ボタンから投稿して下さい。

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