一部公務員には導入されているけど…

「希望降任制度」はなぜ民間企業には導入されない?

2011.02.17 THU



イラスト/豊村真理
文部科学省の発表によると、教職員が自らの意志で管理職から一般教員へ異動する「希望降任者」が過去最高を記録したことがわかった。理由は健康上の問題や職務上の問題、家庭の問題が大半を占めており、仕事のストレスに疲れての希望降任者も少なくないようだ。

ちなみに「希望降任制度」は学校だけではなく、地方自治体でも行われている制度。東京都では平成13年から実施しており、その目的を「本人の意向を尊重し、個人の能力と意欲に応じた人事管理」のためとしている。

しかし、民間企業では希望降任なんて話、聞いたことがないような?

「組織と働きがい研究所」代表取締役の斎藤智文さんいわく「私の知る限り、希望降任制度を制度として採用している企業はありません」とのこと。なんで採用されないのだろう?

「そもそも、降任や昇任とは会社側がもつ“人事権”。職務は本人の希望も重要ですが、本来は組織目標を達成するために設計されるもの。個々人の希望に耳を傾けるときはケースにあわせて対処すべきで、制度化の必要はありません」

企業では介護や育児など個別の事情で、仕事量を減らすために降任の申し出を受けた場合、働き方や業務負荷に配慮する。場合によっては降任という形式を取ることもあるが、それは特別なケース。では、なぜ公務員にはそのような制度が設けられることがあるのだろう?

「役所は民間企業ほど柔軟に、人事制度を運用できない現実があるのでしょう。だからこそ、細かく制度化しているのだと思います」

企業は新入社員時代から、人材を育成して見合ったポストに配置をする。斎藤さんによると「会社にとって希望降任制度は、その投資を本人の都合だけで放棄させられること」に相当するのだとか。民間企業と役所の違い。「希望降任制度」の有無はその違いの一端なのかもしれない。
(笹林 司)


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