今さら知っとく自衛隊/第7回

自衛隊のレンジャーってどんな存在?

2011.07.05 TUE


レンジャー教育期間中の返事はYesもNoもなにからなにまで「レンジャー!」で答える決まりがあるんだって。不便に思えるけど、そもそもNoと答えることが出来ないというから問題なし!? イラスト/ホリユウスケ
メディアで「レンジャー部隊出身」の肩書がつく人を見かけることがある。なんとなくすごげな感じだけはするのだけど、さてレンジャー部隊なんて聞いてもどんな存在なのか実はよく分からない。そこで元レンジャーの助教(教官の補佐)に、いろいろ聞いてみました。まず、レンジャー部隊っていわゆる特殊部隊のようなものなんですよね?

「ちょっと待ってください。先に確認したいのですがあなたが見かけたのは本当に『レンジャー部隊出身』の肩書ですか?」

え、ええ。もしかして元レンジャー部隊という言い方だったかもしれませんが、どういうことですか?

「よく誤解されるんですが、そもそも自衛隊の『レンジャー』とは資格のことであって『レンジャー部隊』なんていう組織は長らくありませんでした。一応02年に出来た西部方面隊にはレンジャー小隊が編成されているので、そこに在籍していたならレンジャー部隊出身を名乗るのも分かりますが…。メディアで元レンジャーを名乗る民間人を見たというならば、レンジャー資格保持者を『レンジャー部隊出身』と誤解して紹介しているのだと思いますよ」

なるほど。所属のはっきりしない自称「レンジャー部隊出身」はちと怪しい、と。

念のため付け加えると、レンジャー資格を持っているのが前提になっているような空挺団(落下傘部隊。陸曹以上はレンジャー資格必須)、特殊作戦群(自衛隊の特殊部隊。対テロ、対ゲリラ戦が任務)なども実質的にはレンジャー部隊といえなくもないようです。

さて、そのレンジャーの資格を取るには一般隊員以上に厳しい身体検査、体力検定の基準をクリアした上でレンジャー教育課程に“入校”し、格闘、ロープ降下、爆破、生存自活などいろいろな教育を受けねばならないようだ。生存自活って確か、山でヘビや鳥など動物を捕まえて食べる訓練だとなにかで見た記憶が。教育中の食事はそういう現地調達が基本なんですか?

「それは教育カリキュラム中の体験の一つにすぎません。確かに解体まで一通りの作業は習得しますが、教育期間は限られているので飯のたびに動物を捕まえてさばいているようなヒマは無いんですよ」

それもそうですね。ところで「レンジャー」なんて聞くとランボーよろしく機関銃片手に単身敵地に乗り込んで戦車奪って大活躍…なんてのを想像するんですけど、やっぱりそういう訓練しているんですか?

「確かに、単身での戦闘能力を高める教育はありますが、そういう性格のものではありません(苦笑)。それに、レンジャー教育で実際に求められるのは連携なんです。そこで食べさせない、休ませない、寝かせないという状況を作り肉体的、精神的に追い込んだ時に現れる本性を見ますね。極限下でも仲間を思えるかどうか。体力、技術面が優秀なだけではダメなんですよ」

こうした約2カ月半の過酷な教育期間を見事修了してやっと手に入るレンジャーの資格。しかし取得しても資格手当が出ることもなく、またその資格を示すレンジャーバッジも体力、技術的に自分に資格がなくなった思った時点ではずしてしまう隊員もいるとか。ん~ストイックな世界にちょっとだけ憧れます。自分がやろうとは思いませんけど。

(即応予備ライターU)

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