世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

今年はかなり高い!? 燃油サーチャージ事情2011

2011.07.07 THU

経済学ドリル


【問1】今年4~5月のジェット燃料価格は前年同期に比べてどれだけ上昇した?

(A)前年比27.2%上昇(1バレルあたり114.6ドル)
(B)前年比37.2%上昇(1バレルあたり123.6ドル)
(C)前年比47.2%上昇(1バレルあたり132.7ドル)

【問2】今年8月にアメリカに行くときの1人あたり燃油サーチャージ額は(片道)?

(A)1万9000円
(B)2万9000円
(C)3万9000円

【解説】全日空や日本航空は、2011年8月1日から9月30日までの2カ月分の発券について、「燃油サーチャージ」を値上げすると発表しました。「燃油サーチャージ」というのは、飛行機の乗客が、通常の運賃とは別に、飛行機の燃料代として負担する費用のことです。「燃油サーチャージ」は、ジェット燃料の原料となるシンガポール・ケロシン(シンガポールで取引されるジェット燃油の名称)の取引価格をもとに決められます。2011年8~9月分の「燃油サーチャージ」額は、4~5月のシンガポール・ケロシン価格の平均から計算されています。4~5月はケロシン価格が高騰していたため、それを反映するかたちで、8~9月の「燃油サーチャージ」額の負担も重くなってしまったのです。具体的な負担金額を見ますと、たとえば夏休みを利用して8月に家族3人でハワイに旅行に行く場合、「燃油サーチャージ」額は、片道で1万8500円×3人=5万5500円となります(7月31日までなら燃油サーチャージ額は4万8000円です)。

[正解] 問1: C 問2:B


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に『中国経済の正体』(講談社現代新書)、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)など多数

燃油サーチャージ高騰の原因はあの国にアリ?



シンガポール・ケロシンの価格が上昇している背景には、供給不安が強まり、原油の国際価格が高騰していることがあります。2011年に入って中東・北アフリカでは、民主化要求デモの動きが広がるようになりました。同地域には産油国が集中しているため、政情不安が続いたことで、原油の供給不安が強まったのです。とくに北アフリカのリビア情勢が悪化してから原油価格の上昇スピードは加速しています。リビアは主要産油国で、原油の埋蔵量は確認されているだけでも58億トンに達し、アフリカ最大を誇ります(09年時点で世界第8位)。そのリビアで民主化要求デモの動きが広がり始めると、治安が悪化するとの懸念から欧州の一部石油企業は操業を停止しました。リビアで原油の生産や石油精製がストップしたことで供給不安が強まり、原油の国際価格が一気に高騰するようになったのです。リビア東部のベンカジで反体制デモが発生したのは2月半ばですが、それを受けて原油の国際価格は1バレルあたり15~20ドルも一気に上昇しました。
ただ、リビアは原油埋蔵量が世界第8位とはいえ、生産量は年間7700万トンで世界全体の2%を占めるにすぎません。原油生産量の世界シェアが2%しかないリビアの情勢に、原油価格が大きく左右されるのはなぜでしょうか。この理由として、ひとつには民主化要求デモの動きが湾岸協力会議(GCC)諸国などリビア以外の産油国にまで広がる懸念が強まっていたという事情が挙げられます。またもうひとつ、リビアの原油生産をサウジアラビアなど他の産油国が代替することが難しいという事情もありました。実は、リビアで生産されていた原油は、軽質で硫黄分が少なく、一般の原油に比べて精製が容易なスイートオイルと呼ばれる原油だったのです。原油の供給不安といっても、単純に「量」の問題だけではなく、「質」も影響してくるんですね。

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