世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

超円高で給料が下がる!?

2011.09.01 THU

経済学ドリル


【問1】日本は国民1人あたりいくらのカネをアメリカに貸していることになる?

(A)18万1943円
(B)38万1943円
(C)58万1943円
(注)2011年5月時点における日本の米国債保有高を総人口で割って算出。為替レートは2011年5月時点の1ドル=81.126円で換算。

【問2】円ドル為替レートが6円円高になると、自動車大手7社の営業利益はいくら減る?

(A)1140億円
(B)2140億円
(C)4140億円
(注)2011年度の大企業製造業の想定為替レート1ドル=82.59円から最近の為替レートの水準まで円高が進むことを想定。営業利益への影響は各社発表資料をもとにBRICs経済研究所試算。


【解説】今年8月5日、米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)は、それまで最上級にあった米国債の格付けを1段階引き下げました。格付けの変更にともない、米国の金融資産に対する投資家の信用は低下、ドル建ての資産の購入が手控えられるようになりました。結果、主要通貨に対するドルの下落が進み、その裏返しとして日本の円がドルに対して急騰するようになりました。ドル安・円高が進展すると、日本が保有する米国債の円での評価額が下がるため、その分日本国内の金融資産が目減りしてしまいます。日本は外貨準備のかなりの部分を米国債、つまりドル建ての金融資産として保有しており、現在の米国債保有額は中国に次いで世界第2位です。また、急激な円高の悪影響は、輸出企業の収益にも及びます。大企業・製造業は2011年度の想定為替レートを年平均82.59円としていますが、それよりも円高の水準が続けば営業利益にもマイナスの影響が出てくるでしょう。

[正解] 問1: C 問2:C


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に、『本当は嘘つきな統計数学』(幻冬舎新書)、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)など多数

円高で浮かれていると後で痛いしっぺ返しが…



最近の急激な円高。私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。円高は、輸入品の価格を下げる効果があるので、海外の高級ブランド品や輸入食品などの値段が安くなります。すでに一部のスーパーや専門店では「円高還元セール」を実施しているところもあります。また、海外旅行に出かける人は、海外で買い物をすれば、いつもより安く商品を購入できるようになります。
このように消費者の目線で見ると、円高はメリットが大きいようにも思えますが、じわじわと効いてくる円高のデメリットにも目を向けておく必要があります。
自動車や電気機械などの製造業は、円高になると、安くなった輸入品との競争にさらされて国内での販売額が伸び悩みます。また海外に輸出する商品の競争力が低下するので、輸出面からも収益にマイナスの影響が出ます。企業収益が悪化すれば、ボーナスなどが削減されて従業員の賃金に下落圧力がかかってきます。さらに円高が長期化すれば、企業が拠点を海外に移す動きが加速し、国内で雇用を確保することが難しくなるおそれもあります。消費者にとって短期的にはメリットが大きいように見える円高ですが、長い目で見れば雇用所得環境の悪化を通じ、逆に消費者の生活を圧迫する要因になるかもしれないのです。
では、急激な円高を阻止するにはどうすればいいのでしょうか。政府・日銀は外国為替市場に単独介入して円売り・ドル買いを実施、円高に歯止めをかけようとしました。しかし、最近の円高はドルが他の通貨に対して下落する中で起きているため、ドル全面安を止めないことには、日本が単独で介入を実施してもあまり大きな効果は期待できません。米国がドル高を望むようになって、日米の協調介入という形をとれば、かなりの効果が期待できますが、いまのところ米国はドル安の是正に本腰を入れるつもりはないようです。

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