“自炊”代行業者の増加で見直し議論

コピー機利用がやり玉に!? 私的複製ルールのゆくえは

2011.11.02 WED


コンビニのコピー機に対する経過措置が見直された場合、コピー代に著作権者への“補償金”が付加される可能性も考えられるという
コンビニのコピー機利用が、将来“違法”になる!? そんな可能性を含む議論が、著作物の私的な複製に関するルールを定めた〈著作権法第30条〉の見直しなどを検討する、文化庁の文化審議会で始まっている。

実はこれまで、コンビニやコピーショップなどに設置されたコピー機(公衆用自動複製機器)を使った書籍や雑誌の複製は、84年に追加された〈附則5条の2〉により、“当分の間”という条件付きで経過措置として認められていた。知的財産権に詳しい福井健策弁護士(骨董通り法律事務所)によれば、

「当時、すでにコンビニや専門業者によるコピーサービスが普及していたにもかかわらず、複製の許諾を受けるための仕組みが整っていなかったことなどが、この附則を追加した理由と考えられます」

とのこと。しかし最近になって、本をスキャンして電子化する“自炊”を代行する業者が登場。業者が設置しているスキャナーを「公衆用自動複製機器」と捉えると、先の附則を盾に複製が横行し、ネットを通じて複製物が出回りかねないため、権利者側から附則の削除や再検討を求める声があがったようだ。つまり、今回の議論は、デジタル化により複雑化した書籍や雑誌などの複製全般について考えなおそうというものなのだ。

「ここで課題のひとつとなるのが、権利者の利益とユーザーの利便性のバランスがとれた許諾の仕組みでしょう。出版業界にも日本複写権センターのような部分的な管理団体はありますが、現在のところ権利者が満足できる金額が分配できていないなど、十分に機能しているとはいえません」

今回の議論では、音楽や映像の場合に適用されている「私的録音録画補償金制度」を書籍や雑誌にも広げようという意見も出ているようだが、よい答えが出るまでには、まだまだ時間がかかりそう。今後の展開が気になるところだ。
(石井敏郎)


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