世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

オモテの失業率・ウラの失業率

2011.11.02 WED

経済学ドリル


【問1】日本の若年失業率はどれぐらい?(2010年)

(A)6.4%(失業者は35万人)
(B)9.4%(失業者は52万人)
(C)12.4%(失業者は69万人)
(注)若年失業率は15歳から24歳の失業率。

【問2】OECD加盟国でリーマン・ショック後に最も若年失業率が上昇した国は?

(A)スペイン
(B)ギリシャ
(C)エストニア
(注)2008年から2010年にかけての若年失業率の上昇幅を比較。

【解説】2011年9月、米国ニューヨークのウォール街で若年世代を中心に抗議デモが発生しました。デモが発生した背景の1つには、失業問題や経済格差の問題が深刻化するなかで若者たちが将来に希望を抱けなくなったということがあります。その後、抗議デモは全米各地に広がりました。さらに10月にはインターネットを通じた呼びかけで抗議デモが世界に拡大、ヨーロッパやアジア諸国においても若年世代の抗議デモが展開されるようになりました。
とくに債務危機に見舞われて若年失業の問題が深刻化しているヨーロッパ諸国で激しいデモが展開されています。若年失業率が27.9%(2010年)に達するイタリアでは、デモ参加者の一部が銀行や商店の窓ガラスを割るなど暴徒化する事態となりました。
日本の若年失業率はリーマン・ショック以降上昇傾向をたどっていますが、先進国のなかではそれほど高い水準ではなく、これまでのところ大規模な抗議デモは発生していません。

[正解] 問1:B 問2:C


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に、『本当は嘘つきな統計数学』(幻冬舎新書)、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)など多数

日本の失業率は本当に低いのか?



08年のリーマン・ショック以降、先進国の失業率は大幅に上昇しました。景気が回復に向かってからも各国の雇用回復は遅れ気味で、失業率は高止まって推移しています。日本の失業率も08年頃から上昇傾向をたどるようになり、2010年の失業率は5.1%に達しました。それでも失業率の水準は米国(2010年の失業率は9.6%)などと比べると低いのですが、そもそも日本の失業率は本当に5.1%なのでしょうか。
実態としては、失業率でとらえられた数字に比べて日本の雇用環境はもっと悪くなっていると考えられます。というのも、政府の雇用対策である雇用調整助成金の影響で、本来であれば職を失っていてもおかしくない人たちが、就業者としてカウントされ、失業者に含まれていないからです。雇用調整助成金は、経営が厳しくなっている企業が従業員を解雇しなかった場合、休業手当などの一部を政府が助成する制度です。世界同時不況になってから政府が雇用調整助成金の適用要件を緩和したため申し込みが殺到するようになり、08年度から09年度にかけては、申し込みの数が4.6倍に膨らんでいます。仮に雇用調整助成金の申請対象となっている人たちを潜在的な失業者としてカウントして、失業率のデータを計算し直してみると、2010年の数字は5.1%から7.0%へと跳ね上がります。また09年の場合には、実績値の5.1%に対して8.2%へと上昇します。これまで日本の失業率は5.5%という数字が過去最悪となっていたのですが、実態としてみれば、私たちが肌で感じているとおり、すでに過去最悪の数字を大きく上回っている可能性が高いということになるのです。
この先、雇用調整助成金が打ち切りにでもなったら、失業問題が一気に顕在化して、日本でも若者を中心とした抗議デモが発生するかもしれません。

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