「100年安心」なんて嘘ばかり

厚生年金の支給開始年齢 引き上げ案の背景とは?

2011.11.17 THU


1974~96年3月の間に被保険者となった人に付与された年金手帳はオレンジ。96年4月以降はブルー。本当に役立つ日ははたしてやってくるのか 『週刊東洋経済』毎週月曜発行 現在発売中の特集は「遠ざかる年金<全対策>」 定価690円(税込)
撮影/尾形文繁
サラリーマンが加入する厚生年金の支給開始年齢を68~70歳に引き上げる─。こんなショッキングな案が現在、政府・与党の間で議論されている。

現在の厚生年金の支給開始年齢は60歳だが、現行制度ではこれを2013年から3年ごとに1歳ずつ、2025年までに65歳に引き上げることになっている。だが、民主党政権は6月にまとめた「社会保障と税の一体改革」の中で、「先進諸国の平均寿命・受給開始年齢を十分参考にし、(中略)68~70歳へのさらなる引き上げを視野に検討」と打ち出したのだ。

なぜ、こんな話が浮上したのか。2004年に自民・公明連立政権下の年金制度改革では、給付水準を調整するマクロ経済スライド方式が導入された。さらに年金保険料の引き上げ、国庫負担分の引き上げの改革も行われ、当時は「100年安心」と謳われた。しかし、現実にはデフレ経済が続いているにもかかわらず給付水準は維持されたまま、支払い超過の状態。年金財政の悪化が止まらないのだ。

そんな矢先、10月12日に大手コンサルティング会社のマーサー・ジャパンは、主要16カ国の年金制度を「十分性」「持続可能性」「インテグリティ(誠実さ)」という3つの指標でポイント化したランキングを発表。日本の年金制度は14位で、下に位置するのはインドと中国だけという厳しい評価を突きつけられた。同社は、「年金支給開始年齢引き上げなどの施策を迅速に行なうことによって、ランキングの評価も改善する」とコメントしているが、サラリーマンにとって痛みを伴う改革だけに反発は避けられない。

結局、小宮山厚生労働大臣は先月、「年金支給開始年齢引き上げなどの案を来年の通常国会に提出する関連法案には盛りこまない」と表明、懸案はひとまず先送りとなった。しかし、問題が何一つ解決していない以上、近い将来この問題は必ず再燃するはずだ。
(大坂直樹/『週刊東洋経済』)


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト