長く雇ってもらう分、現役世代も給与ダウン?

65歳まで雇用義務化が実現したら?

2012.02.02 THU


同改正案は企業側からの反発が大きく、今国会での成立は微妙な状況。成立しても、施行から2?5年程度の猶予期間を設ける方向といわれている
図版:藤田としお 出典:関西経済連合会「高年齢者雇用安定法改正に望む」より抜粋
今の通常国会へ提出が検討されている「高年齢者雇用安定法の改正案」。成立すれば、働く意思のある人全員を、原則65歳まで継続雇用する義務が企業に課せられる。改正案の根本にあるのは年金問題だ。2025年度には、会社員が加入する厚生年金の支給開始年齢が65歳になる。もし60歳で定年を迎えると、年金支給までの5年間は無収入になってしまう。そこで、希望者は全員継続雇用という改正案がまとめられたのだ。

年金も定年もまだ先の話とはいえ、R25世代も他人事ではない。経団連が発表した「2011年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、希望者全員の65歳までの継続雇用が義務付けられた場合、5割弱の企業が“現役世代の賃金引き下げや退職金、企業年金の見直し”を行う用意があると回答している。それもそのはず、関西経済連合会の試算では、改正から4年後には企業負担は約3.6兆円増加。さらに営業純益を21.1%押し下げるというのだ。

労働問題に詳しい神戸大学大学院の三谷直紀教授によると「高齢者の継続雇用が義務になると、企業側は継続雇用の期間も踏まえたうえで生涯賃金を計算する必要が出てきます。そうなると、全年齢で賃金が引き下げられたり、個人の成果がより厳しく賃金に反映されたりする可能性は否定できません」とのこと。とはいえ、今回の改正案は必要だとも語る。

「日本は少子高齢化が進み、労働力人口も減少します。長期的に見ると、高齢者の労働参加は避けられません。ただ、現在の経済状況で企業が負担を避けたがるのもわかります。現実的には、継続雇用された高齢者の賃金を抑えることでバランスを取るしかないでしょう」

景気低迷が長引く今、高齢者の雇用は、若年の雇用対策や経済の成長戦略とあわせて議論されるべきと語る三谷教授。国会では長期的で広い視野の議論を期待したい。
(笹林 司)


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