新制度でマンション業界はどう変わる?

引っ越しなら注目?LCPとは

2012.07.01 SUN


先日、東京都から新たな取り組みとなる「東京都LCP住宅」制度が発表された。これは、大規模な地震が発生した場合でも倒壊しない耐震性と、電気が止まっても一定期間建物内で水の供給やエレベーターの運転を継続可能にする常用発電機が設置されたマンションを「東京都LCP住宅」と認定し、登録・公開していくというもの。果たしてこの制度は、マンション業界にどんな影響を与えるのだろうか? 不動産会社約300社で構成される不動産流通経営協会の福岡史生参事にお話を伺った!

「耐震性については『建築基準法に規定する耐震性を有する』のが条件ですから、決して目新しいものではありません。今回の制度でカギとなるのは『常用発電機を設置している』という部分でしょう。まだそのすべてを把握できてはいませんが、現状でこの条件を満たすマンションはごく少数なのではないでしょうか。普及するにはしばらく時間がかかると思います」

しかし、数少ない認定物件に仲間入りすれば大きなウリにもなりそうで、認定を受けようとこれから設備を改修するマンションが増えるのでは?

「そこでネックになるのが、発表内容にある『設備の設置・運営にあたり、居住者・住宅所有者に、原則として新たな負担が生じないこと』という部分。分譲済みマンションでこれだけのものを居住者の負担なしに設置するのは簡単ではないでしょう。賃貸マンションならオーナーが負担するというのも可能ではありますが」(福岡参事)

確かに常用発電機をつけるのに“居住者の負担なし”はちょっと考えにくい。となると、認定を受けるために設備強化を行うのは賃貸マンションに多くなるということ?

「それもどうでしょうか。東日本大震災以降、防災意識が格段に高まり、今回のような認定基準を満たしている物件が心強いのは確か。しかし、賃貸選びの際に重視されるのは今まで以上の耐震性や浸水に対する防御など、もっと直接的な安全面だと思います。オーナーとしては、お金をかけて常用発電機を設置しても、そのコストを回収できるか微妙なので、ただちに認定を目指すマンションが増えるとは考えにくいですね」(同)

となると、認定物件を目指すのは新築分譲マンションくらいということ?

「そうですね。認定を受けるのは、新築物件が多くなるかもしれません。『居住者・住宅所有者に負担をかけない』という基準もクリアできますし、多少なりとも販売時にウリにはなりますから。ただし、その分原価は上がるので、戸数が多くて1戸あたりの負担を抑えられる大規模マンションや、防災に対する意識が高いベイエリア周辺の物件が中心になるのではないでしょうか」(同)

地震に強く、災害時でも一定期間は水道や電気の供給も止まらない「東京都LCP住宅」。いざというときには心強いが、普及には時間がかかりそうだ。
(河合力)

※この記事は2012年02月に取材・掲載した記事です

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