世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

「消費税増税」はどれくらいの負担増?

2012.07.19 THU

経済学ドリル


【問1】消費税率がUPすると、R25世代の1人あたりの税負担額は年間いくら増える?

(A)消費税率が8%時4万5204円、10%時7万5341円
(B)消費税率が8%時5万1204円、10%時8万5341円
(C)消費税率が8%時6万1404円、10%時10万2341円

【問2】015年度末、国民1人あたりに換算した国の借金は?(税率10%時)

(A)現在(2012年3月)に比べて借金額は72万7000円減る
(B)現在(2012年3月)に比べて借金額はほとんど変わらない
(C)現在(2012年3月)に比べて借金額は72万7000円増える

【解説】「消費税増税法案」が衆議院を通過しました。現状、消費税の税収は年間10兆円前後ですが、景気に左右されにくい安定した税収の確保という点から消費税の増税が計画されたわけです。消費税増税が実現した場合、R25世代の人たちの生活にはどのような影響が出てくるのでしょうか。仮に、10%の水準まで消費税の税率が引き上げられると、平均的なR25世代(単身生活をする34歳以下の男性)は年間で10万円超の負担増となります。
消費税の税率アップで政府の財政事情が改善し、年金など社会保障制度に関する国民の将来不安が解消されるのならいいのですが、実際にはそうはなりません。財務省の試算によると、消費税率が計画通りに引き上げられたとしても、景気の悪化にともなう税収の伸び悩みや、社会保障関連支出の拡大によって政府の税収不足は全く解消されないのです。税収の不足分は新規の国債発行(借金)でまかなわれるため、消費税を10%に引き上げても国の借金は増え続ける可能性が高いといえます。

[正解] 問1:C 問2:C


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)『新興国バブル崩壊のシナリオ』(中経出版)など多数

消費税増税で財政再建は本当に進むのか?



政府与党は、増税による財政・社会保障制度の立て直しを目指していますが、果たして増税によって、本当に財政の再建は進むのでしょうか。多くのエコノミストは、増税によって逆に税収が減少し、財政再建は遠のくと考えています。理由は「ラッファー曲線」で説明することができます。「ラッファー曲線」とは、税率と税収の関係を示したグラフで、税率を上げていくと当初は税収が増えるのですが、税率を上げ続けると臨界点に達して、税率が臨界点の水準を超えると、逆に税収が減っていくという現象です。なぜ税率が臨界点を超えると税収が落ち込むのでしょうか。
消費税を例にとれば、税率を短期間に上げすぎると消費者の購買意欲が減退して消費そのものが落ち込み、消費のパイの縮小を通じて税収が減少するためです。しかも、消費縮小の影響は他の税収にもマイナスの影響を及ぼします。消費が落ち込み、不景気になると、景気動向に税収が左右されやすい所得税や法人税の税収も落ち込むようになるのです。
さらに不景気になれば企業のリストラなどで失業者が増えるため、失業保険の給付や生活保護の支給額が増え、歳出の拡大を通じても財政再建が困難になってきます。
ラッファー曲線で、税収が増加から減少に転じる臨界点の税率は増税を実施するときの景気動向によって変わります。一般には景気が悪いときに増税をすると、臨界点の税率は低いところにシフトしてきます。そこで政府が計画している増税時の景気がどうなっているかを考えると、現在は補正予算執行による復興需要の盛り上がりで日本の景気は上向いていますが、補正予算の効果が息切れする2013年度以降は、景気が再び悪化する可能性が高くなります。政府はまさに景気が悪化するタイミングで増税をしようとしているのですから、わずかに消費税を引き上げただけでも、税収は下がりやすいといえるでしょう。

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