世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

ロンドン五輪を経済的に振り返る

2012.08.23 THU

経済学ドリル


【問1】ロンドン五輪開催の日本への経済波及効果はどれぐらいだった?

(A)約5037億円
(B)約8037億円
(C)約1兆37億円
(注)電通総研の試算による

【問2】08年の北京五輪と比べた消費押し上げ効果は?

(A)ロンドン五輪のほうが北京五輪よりも11.5%小さかった 
(B)ロンドン五輪のほうが北京五輪よりも21.5%小さかった 
(C)ロンドン五輪のほうが北京五輪よりも31.5%小さかった
(注)電通総研の試算による

【解説】悲喜こもごもの様々なドラマが生まれたロンドン五輪が終わりました。電通総研によると、今回のロンドン五輪開催によって日本国内の個人消費は約3867億円押し上げられたと試算されています。消費が誘発する生産・所得などを合わせた全体の経済波及効果は消費金額の2.18倍(8037億円)にも上ります。
ところで、ロンドン五輪の消費押し上げ効果である3867億円は、08年に開催された北京五輪(5386億円)や04年に開催されたアテネ五輪(4072億円)に比べると小さな金額にとどまっています。
これは五輪商戦の6割以上を占めるデジタル家電、とくに薄型テレビの販売が不振であったからです。なぜ今回のロンドン五輪では薄型テレビの販売が伸びなかったかといえば、昨年の地上デジタルテレビへの移行特需、エコポイント特需の反動が出て、ロンドン五輪に合わせて新しいテレビを買おうという向きが少なくなってしまったためです。

[正解] 問1:B 問2:C


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)『新興国バブル崩壊のシナリオ』(中経出版)など多数

ロンドン五輪は夜のビジネス、盛り上がらず!?



五輪やサッカーW杯といったビッグ・イベントが開催されると、開催地ではいわゆる「夜のビジネス」が盛り上がると言われます。事実、04年のアテネ五輪や06年のドイツ・サッカーW杯では、開催地にたくさんの観光客が訪れ「夜のビジネス」が大繁盛しました。では、今回のロンドン五輪で「夜のビジネス」は盛り上がったのでしょうか。結論から言うと、ロンドン五輪では「夜のビジネス」は、あまり盛り上がりませんでした。その理由は、欧州債務危機が深刻な状況で、ヨーロッパ全体が不景気となっており、周辺国から五輪を観戦するためにロンドンを訪れるという流れが弱かったということがあります。また、ロンドンはビジネス都市のため、ほかの欧州主要都市と比べて観光地としての魅力に欠けるということもあるでしょう。さらに、ロンドンではホテル代が高騰するなど、ほかの欧州主要都市と比べて物価が高いという事情もあります。これらの理由により、ロンドンを訪れて「夜のビジネス」を楽しむ客の数も少なかったと考えられます。
また、治安当局が五輪開催期間「夜のビジネス」、とりわけ売買春が横行することのないように治安対策を徹底したことも、「夜のビジネス」が盛り上がりに欠けた理由のひとつです。
治安当局は、犯罪組織が外国人女性をロンドンに連れてきて「夜のビジネス」に売りつける人身売買を強く警戒しました。ロンドンに連れてこられる外国人女性はリトアニア、アルバニア、モルドバ、ルーマニアなど経済的に貧しい国の出身者が多く、ホテルの清掃の仕事などと騙されてロンドンに連れてこられます。英国内務省の統計によると、不法な手段で英国に連れてこられて売春させられている女性は年間約4000人とされており、10年4月からは専門のトラフィッキング犯罪対策組織がつくられ、ロンドン五輪の開催期間中、人身売買が横行することのないよう目を光らせました。

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