米国では「ネットいじめ防止法」が成立

もしも、ネットいじめを受けたら

2012.08.21 TUE


米ニューヨーク州の「ネットいじめ防止法」は2013年7月1日に施行予定。報告義務のほか、いじめ解決のための研修などが教師に課される。
今年7月、米ニューヨーク州でオンライン上のいじめを防止する法律が成立した。これは、SNSや電子メールでいじめを発見した教師は1日以内に学校管理者に届けなければいけないといった義務が課せられるもので、アメリカにおける、ネットいじめの深刻さがうかがえる。

その実態について、クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン外国法事務弁護士事務所のライアン・ゴールドスティン弁護士はこう語る。

「もっとも多いのはフェイスブックやツイッターによるいじめです。たとえばフェイスブックには小学生の多くが登録しており、学校ごとのコミュニティができています。そのなかで人気のある子どもが『あの子友達いないよね』とか『勉強できないよね』と書き込むと、学校中の生徒がそれを目にします。子どもたちは仲間外れになりたくないので、その書き込みにコメントしたり『いいね!』をクリックしたりしてしまう。こうして心ない言葉や嫌がらせがあっという間に広がってしまうのです。ひどいケースでは恥ずかしい写真をアップされることもあります」

ネットいじめの怖さは、誰かへの悪口が不特定多数に共有され、拡散してしまうことにある。特にSNSは「仲間外れにされたくない」という子ども心をあおってしまう特性を持つのでタチが悪い。さらに、「ネットいじめは大人の世界でも広がっている」とゴールドスティン氏は言う。

「質的には子どものネットいじめと変わりません。たとえば同僚について、フェイスブックやツイッターで『○○さん今日も怒られてたね』と書いたり、誰かの仕事のミスを暴露したり。これらはすでにアメリカでよく起こっていますし、フェイスブックが普及してきた日本でも今後増えてくるでしょう。恋愛関係で揉めた人について書き込むことも多いですね」

芸能人を対象にした週刊誌のゴシップ記事のようなことが、SNS上で誰に対しても行われる。それが大人のネットいじめだという。ならば、私たちがネットいじめに遭った場合、法的な処置は取れないのだろうか?

「明らかな嘘を書き込まれたなら、法律に抵触する可能性もありますが、上記に挙げたような書き込みに対しては、法的な処置は難しいのが現実です。憲法では、自由に発言する権利も保障されていますから。現状の対処法としては、各SNSの機能をしっかり理解して、嫌がらせを受けたら管理者に相談するくらいしかないと思います」

アメリカでは、2010年9月に学生がウェブカメラで同性愛者であるルームメイトの性的行為をネット中継し、その後ルームメイトが自殺するという事件が起こったが、今年5月に出た判決では、ネット中継した学生に課せられた罪は不法な撮影に対する禁錮30日のみだった(実際は、20日で出所)。この判決については全米でも議論が巻き起こっている。

インターネットの普及とともに急速に増えてきたネットいじめ。子どもだけでなく大人の社会でも、その対策は急務ではないだろうか。
(河合力)

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